アフリカビジネスのための現地パートナーの選び方
アフリカ大陸は、54カ国に及び、10億人を超える広大な消費者マーケットを有する地域です。そこには莫大なビジネスチャンスが潜んでいます。新型コロナウイルスの厳しい影響がまだ残る現在でも、人口の増加傾向は一向に鈍化することなく続いています。
かつて、アフリカのビジネスと言えば、資源開発やインフラ建設が主軸でした。しかし、現在は各国の産業の発展、医療と食糧への需要の増加、そして情報技術の急速な進歩に伴い、デジタル金融の導入や電子商取引の普及が見られるなど、業態の多様化が進んでいます。この状況において、多くの日本企業がアフリカビジネスへの参入機会を得ています。
しかしながら、アフリカビジネスで成功を収めるためには、いくつかの課題をクリアする必要があります。その一つとして挙げられるのが、適切な現地パートナーの選定です。
アフリカですでにビジネスを展開している事例を2つ紹介しましょう。トヨタは、アフリカ全体で幅広い製品ラインナップを展開し、特に耐久性と信頼性が要求されるピックアップトラック市場で高いシェアを獲得しています。トヨタは現地パートナーと協力し、各国の法律、文化、地域環境に合わせたビジネス戦略を展開しており、現地生産体制の強化とサプライチェーンのローカライゼーションを進めています。これにより、地域市場に深く根ざしたビジネスを展開しています。
また、クボタは、エジプトやスーダンなどのアフリカの農業大国で、耐久性のあるトラクターや灌漑システムを提供しています。これらの成功は、現地パートナーとの協働により、各地域の特有の課題を理解し、それに対応した製品を提供することで、実現されています。
上記の例からも分かるように、現地に受け入れられる事業を展開していくには、現地パートナーの存在が重要となります。一方で、適切な現地パートナーを選ばなかった場合、事業が失敗してしまう可能性が高まります。今回は、適切な現地パートナー選びの際に考慮すべき6つの視点をお伝えします。
- 対象地域市場への理解
- 財務の安定性
- 評判と信頼性
- ネットワークとコネクション
- 価値観と目標の一致
- 法的コンプライアンス
以下に、それぞれの視点を詳しく解説します。
1. 対象地域市場への理解
事業の対象となる国や地域の市場情報は、デスクリサーチによってある程度調査することが可能です。しかし、定性的かつミクロな情報、つまり数字では計れない情報については、現場を熟知した人から直接収集する必要があります。そのため、選定すべき現地パートナーは、対象とする地域市場について包括的な理解を持つことが重要となります。
具体的な例を挙げると、法規制上は事業開始に問題がないと想定していても、実際には役所のシステムに問題があり大幅に遅延する可能性があるのです。また、日本の消費者なら自社のサービスを選ぶだろうとビジネスモデルを作成したものの、現地の独自の習慣によって選ばれないという事態が発生することもあります。これらを事前に防ぐためにも、対象地域市場に対する理解が深く、現地でのビジネス経験がある方を現地パートナーとすることが重要です。
2. 財務の安定性
現地パートナー候補が自身で事業を運営している、あるいは他の組織に所属している場合、その組織の財務状況を確認することが重要となります。なぜなら、現地パートナーと長期的にビジネスを展開する場合、相手側の既存事業に問題が生じれば、財政的な理由で我々とのビジネスが停滞する可能性があるからです。具体的な事例としては、現地パートナーの既存事業に問題が発生し、短期的な仕事しか請け負わなくなったり、一方的に連絡が途絶えたりするというトラブルがあります。
現地パートナー候補が健全な財務状態を保持しているか、またジョイントベンチャーやパートナーシップの財務要件を満たす能力があるかを確認する必要があります。財務監査を実施したり、信用調査会社を活用したり、それが難しい場合でも、可能な限り財務状況の開示を依頼しましょう。
3. 評判と信頼性
現地パートナーの評判が悪いと、自社ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。表面的には良い印象を与えていたとしても、ビジネスのやり方に倫理的な問題があったり、消費者を裏切るようなことをやっていたりする場合、現地では既に悪評が広まっていることがあります。パートナーの信頼性を評価するためには、現地の日本企業や政府機関などへのヒアリングを通じて、悪評がないかを確認しましょう。
4. ネットワークとコネクション
現地パートナーを持つ大きな利点の一つとして、彼らのネットワークやコネクションを活用して事業を推進できることが挙げられます。例えば、自社だけでは接触が難しい業界のキーパーソンや政府関係者と、現地パートナーが既に良好なコネクションを持っていることで、簡単に面会できるというケースがあります。しかし、これらを実現するためには、ただ単にコネクションを持つだけではなく、そのパートナーの過去の実績や評判が大きく影響します。したがって、「2.財務の安定性」「3.評判と信頼性」の調査が良好であれば、強いネットワークやコネクションを有する可能性が高いと言えます。
5. 価値観と目標の一致
これまで述べた項目の評価が良かった場合でも、解決したい社会課題などの価値観や目指す事業規模やスケジュール感などの目標にズレがあると、連携が円滑に進まなくなることがあります。そのため、自社と現地パートナーの企業理念や中長期の目標などを共有し、価値観や目標にずれがないかを事前に確認しましょう。これらの確認は、論理的な面だけでなく熱量も重要となるため、メールやオンライン会議だけでなく、直接顔を合わせて行うことが重要です。
6. 契約に基づくパートナーシップ
最後に、現地パートナーとはしっかりと契約によって連携をすることが重要です。すべての視点が良好な評価であったとしても、現地ビジネスでは小さなトラブルは避けられません。その際に、トラブルを円滑に解消するには、現地パートナーとの契約がしっかりと結ばれていることが重要です。パートナーシップの見通しが立った場合は、現地の法律に詳しい専門家を介して契約書を作成し、双方が合意した上で、パートナーシップ契約を交わしましょう。
今回は、アフリカビジネスで適切な現地パートナーを選定するための6つの視点について解説しました。これからアフリカで現地パートナーを選定される企業様は是非参考にしてみてください。また、イースクエアは、アフリカに多くネットワークを有しているため、現地パートナー発掘・選定支援も行っています。詳しくは以下をご確認ください。
イースクエアのアフリカ進出・展開支援
弊社は、2010年よりアフリカを始めとする開発途上国・新興国での日本企業のビジネス展開を市場調査、製品・技術開発(ローカライゼーション)、現地パートナーの発掘、テスト販売、ビジネスモデル構築・改善、公的機関などの補助金・助成金など申請など、お客様のニーズに合ったサポートをご提供します。アフリカでの多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有する弊社コンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、企業様のアフリカでのビジネス展開をオーダーメイドでご支援します。
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