海外進出を目指す企業のための補助金活用のコツ(前編)
イースクエアでは、日本企業の海外進出の支援を行っています。海外進出をするにあたり、多くの場合、ハードルになるのが海外事業を担当する人材・ノウハウと資金です。海外における市場調査やパイロット事業などを行う際に、公的支援を得て補助金※および専門家の支援を活用することができればそのハードルを大きく下げることができます。
イースクエアでは経験豊富なコンサルタントが企業様の公的支援(補助金)獲得を支援し、事業化を後押ししてきました。一方で、使い勝手のいい補助金は競争率が高く、獲得が容易ではないことも事実です。ここではイースクエアの数多くのご支援実績を基に、補助金の活用および獲得のコツをご紹介します。まず、補助金を選定するまでを前編としてお伝えしますが、後編では、補助金獲得に向けた企画書の書き方のコツなどをお伝えします。
※企業への公的支援や助成は正確には「補助金」ではなく、「業務委託」などの形式が取られることもありますが、ここでは総称して「補助金」と記載することにします
1. 海外進出の目的、目標を設定する
補助金活用の検討に入る前に前に行っておきたいのは、海外進出の目的、目標を大まかに整理することです。目的も目標も「目指すもの」を意味しますが、違いがあります。目的は、最終的に実現したいもの、到達したい地点を意味します。目標は目的を実現するために達成すべきことを指します。何のために海外進出を行うか、海外進出することで実現したいことが目的であり、目標はその目的を実現させるために達成すべき指標、目印になります。
目的は最終的に目指す姿、目標はその過程で目指すもののため、目的は抽象的で、目標はより具体的になります。例えば、「途上国の開発課題を解決しつつ、開発途上国の経済成長とともに成長する会社にしたい」というのが目的だとすると、「2025年までにA国に現地法人を設立し、海外売上比率を20%以上にする」というのが目標になります。
補助金を活用するというのは目的、目標達成のための「手段」ですので、まずは海外進出の大前提となる目的、目標を改めて整理することが大切です。
2. 補助金の対象にしたい活動と経費を整理する
海外進出を実現するためには、大まかに言うと、対象国の基礎情報収集、事業構想(仮説)の立案、実現可能性調査(フィージビリティ・スタディ)の実施、事業構想見直し、といったプロセスがあります。
これらの活動には、現地渡航のための交通費・宿泊費、事業従事者の人件費、外部専門家への業務委託費、プロトタイプ開発費、製品試作費、製品輸送費など、様々な経費がかかります。まず今回はどのような活動を行うか、その活動にはどれくらいの費用がかかりそうか、ざっと見積もったうえで、補助金の対象としたい活動と経費を整理します。
3. 活用できる補助金を探す
2で整理した活動と経費が補助対象になる補助金を探します。一定期間を通じて毎年募集がある補助金もあれば、新型コロナウイルス対策のように、単年度や時限的に実施される補助金もあります。
補助金スキームについてはぜひこちらのページも参考にしてください。
4. 補助金の概要を把握する
次に、3で探した補助金の概要を把握します。主に確認すべきことは、応募時期、補助金の目的(趣旨)、補助対象となる分野や活動、補助対象経費、補助の上限金額です。海外進出を想定しているのであれば、海外の当該地域が対象になるかどうかも重要です。
補助金は、A4×2枚程度のPR用のパンフレット(説明資料)が作られることが多いので、お忙しい方はまずはそれを見て概要を理解し、自社ニーズに合っているか大まかに判断するといいでしょう。
5. 過去の採択実績を確認する
公費を使う補助金では、ニュースリリースなどで過去の採択実績が公表されていることが一般的です。
過去の採択事例をざっと見て、どのような分野のどのような案件がよく採択されているか、自社が想定しているような案件も採択事例に含まれているか、チェックしてみましょう。補助金のスキームによって、採択される案件の傾向が異なりますので、ご自身の案件がそのスキームにどれだけ親和性があるか、採択されやすいかを判断する重要な材料になります。
6. 申請する補助金を選定する
以上のプロセスを経て、自社の活動やニーズにマッチした補助金を選びます。1つに絞り込んでもいいですが、類似する複数の補助金に申請することで採択確率をアップさせることもできます(複数採択された場合、採択後に1つを選択する必要があることもあります)。
なお、補助金の多くは「後払い」です。つまり、補助事業の期間に発生する経費は企業がまず立て替える形で支払っておいて、活動が終わった後に領収書などの証憑類を基に清算することになります。また、経費の全額が補助されることは稀で、多くの場合、かかった経費の3分の1、2分の1などの自己負担が生じることがほとんどです。立て替え期間の資金、自己負担分の経費を支出できる余裕があるか、確認が必要です。案件が大きいほどこれらの資金負担は大きくなりますので要注意です。案件によって経費の精算方法や支払いのタイミングが異なりますので、確認が必要です。
以上が前編ですが、後編では、補助金獲得に向けた企画書の書き方のコツなどをお伝えします。
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海外進出を目指す企業のための補助金活用のコツ(後編)
イースクエアの公的機関(JICA、環境省、経産省など)スキームを活用した支援実績は以下よりご覧いただけます。
https://www.e-squareinc.com/AchievementList.pdf
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