イースクエアでは、公的な補助金を活用して企業のリスクや資金負担をなるべく軽減しながら、企業の海外進出をご支援しています。応募先の公的機関としては日本の省庁や自治体などが多いですが、中には国連機関というケースもあります。今回は国連機関の一つであるUNIDO(国連工業開発機関)本部の調達案件への応募方法について解説します。

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出典:UNIDOのホームページ

UNIIDOとは

UNIDO(国連工業開発機関)は、1966年に設立された国連の専門機関で、工業開発を通じた経済成長や持続可能な発展を支援する役割を担っています。本部はオーストリアのウィーンにあり、途上国や新興国における産業の発展を促進するために技術支援や政策助言を提供します。また、環境保護やクリーン技術の普及、貧困削減などの国際的な課題にも取り組んでおり、主に工業開発の分野から持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しています。

UNIDOと日本の関係

UNIDOと日本は緊密な協力関係にあります。日本はUNIDOの設立メンバーであり、最大の運営資金拠出国です。両者の協力は、特に途上国や新興国における産業開発や技術革新の推進において重要な役割を果たしています。具体的には、日本政府は技術協力プロジェクトを通じて、環境保全、エネルギー効率化、製造業の高度化などの分野で支援を行っています。また、日本企業もUNIDOのプロジェクトに積極的に参加し、技術移転や人的資源の育成に貢献しています。さらに、UNIDO東京事務所(正式名称は、UNIDO東京投資・技術移転促進事務所)は日本国内での広報活動や情報提供を行い、日本とUNIDOの連携を強化しています。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた共同の取り組みが推進されています。

なお、UNIDOの主な活動分野は工業開発ということもあり、日本政府内の主な所轄官庁は経済産業省です。UNIDO東京事務所の運営予算の一部は日本の経済産業省が拠出しているほか、UNIDO本部の4人いる事務次長(Deputy to the Director General)の1人は経済産業省出身で前UNIDO東京事務所長の安永裕幸氏が務めています(20246月現在)。

日本政府が資金拠出してUNIDOが実施する案件

前述のような緊密な関係をベースにし、日本政府が資金拠出してUNIDOが実施する案件がしばしば実施されています。最近では「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」や「Green industrial recovery project for Ukraine through technology transfer from the co-creation of new businesses, with Japan's private industries(日本の民間企業との新事業共創による技術移転を通じたウクライナのグリーン産業復興プロジェクト)」がそれに該当します。日本政府が資金拠出する案件は、提案可能な企業が日本企業に限られていることが多く、これらの案件も例外ではありません。

UNIDO本部の調達案件への応募方法

こういった案件に応募する際は、UNIDO東京事務所ではなく、UNIDO本部に応募することになります。

まずUNIDO Procurement Portal(調達ポータル)にアクセスし、「REQUEST BIDDER ACCOUNT」をクリックして必要事項を入力し、入札のためのアカウントを取得します。

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出典:UNIDO Procurement Portal

アカウントが取得できたら「BIDDER ACCESS」からログインし、募集中の案件を検索して仕様書(TOR)や応募書式などをダウンロードし、記入が終わった応募書式をアップロードします。不明な点がある場合はこの調達ポータルサイト経由で質問を送ることができます。

 なお、こちらの動画では、UNIDO本部調達部チーフ 磯山敦氏が入札の仕方について解説しています。また、調達ポータルサイトの操作マニュアル(PDFファイル)はこちらからアクセス可能です。

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出典:YouTube

まとめ

国連機関への入札というと、言語の壁(全て英語)もあり、少々ハードルが高いと感じられるかもしれません。UNIDOの調達システムは操作性がいいとは言えませんが、マニュアルも整備されており、慣れれば多くの人にとって問題なく使えるでしょう。また、国内の政府機関から募集されている案件とは違い、日本ではあまり知られていない一方、応募できるのは日本企業に限られていることもあり、採択率が高くなる可能性が多分にあります。国連機関ですので一定の制約条件はありますが、自社の強みが生きる分野で応募ができるのであれば、挑戦してみてはいかがでしょうか。

イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、お客様のニーズに合わせて、オーダーメイドで海外ビジネス展開をご支援しています。UNIDOを含む国内外の公的機関への案件応募もご支援可能です。ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。

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