サステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」を活用した海外展開の成功事例
サステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」とは
国際連合工業開発機関(UNIDO)東京事務所が運用しているサステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」(Sustainable Technology Promotion Platform)は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する革新的な技術やソリューションを発展途上国に紹介し、普及させることを目的としています。このプラットフォームは、環境に優しい技術やエネルギー効率の高い技術など、持続可能な開発に貢献する様々な技術を集め、それらを発展途上国のニーズに合わせて提供することで、経済的な成長と環境保護の両立を目指しています。2023年11月時点で、124社から144の技術がSTePPに登録されています。
STePPの対象分野は、エネルギー、環境、アグリビジネス、保健衛生、災害対策となっています。
また、STePPの主な活動内容には以下のようなものがあります。
- STePP登録確定書(英語)の発行
- STePPロゴの使用許可
- UNIDO東京ウェブサイトでの技術の詳細の紹介
- UNIDO東京ウェブサイトでの技術を紹介する動画の作成 (中小企業のみ)
- UNIDO東京や他機関が主催する展示会への出展や国際会議での説明
- UNIDO東京が招聘する開発途上国等のビジネス担当官や、当事務所在アフリカ職員による本国のニーズとSTePP技術のマッチング
この中でも、特に3、4の支援については、海外からの自社製品への引き合いが増えるなど、実際の成果が出やすい支援になっています。UNIDO東京事務所のウェブサイトは、開発途上国、新興国、先進国を問わず世界中からアクセスされており、日本からの投資・技術移転に関心を持つ各国関係者に閲覧されています。
これまでにアクセスしてきた国は140カ国以上になっており、アクセス数の多い開発途上国・新興国は、インド、中国、ブラジル、バングラディッシュ、フィリピン、インドネシア、イラン、トルコ、ベトナム、シンガポール、パキスタン、タイ、ベネズエラ、ロシア、マレーシア、カンボジア、UAE、サウジアラビア、スリランカ、ウガンダ、ヨルダン、南ア、メキシコ、ペルー、オマーン、ナイジェリアとなっています。
中小企業によるSTePPを利用した海外展開の成功事例
新型コロナウイルスが猛威を振るっていた2020年11月に、国連工業開発機関(UNIDO)は日本政府(外務省)より約4.32億円の資金提供を受け、「開発途上国での感染症対策を強化するためのSTePP技術の展示及び移転を通じた日本企業の海外支援プログラム」を立ち上げました。この取り組みの一環として、UNIDO東京事務所は、COVID-19を含む様々な感染症に対処するための技術やトレーニングを提供できる約10の日本企業を選定し、これらの企業の海外展開活動を支援しました。
日之出産業株式会社(神奈川県)は、昭和51年の創業の排水処理設備の設計施工、アフターサービスや排水処理薬品の製造・販売等の事業を展開する中小企業です。同社は、STePPへの登録をきっかけにして、「開発途上国での感染症対策を強化するためのSTePP技術の展示及び移転を通じた日本企業の海外支援プログラム」に挑戦して採択され、2020年にモロッコへの技術移転事業を実施しました。
モロッコの農村地域では、約48%の未処理汚水が川や地面に流されており、住民が水系由来の病気のリスクにさらされています。また、モロッコには約100箇所の浄水施設が存在しますが、現地の資源制約(人、技術、資金等)により、これらの施設を持続可能な方法で運用することができない状況です。
日之出産業は、これらの課題に対応するため、上記UNIDOのプロジェクトを活用し、マラケシュから東に約80km離れたアル・ハウズ県のドゥアル・ブアニム地域で、現地調査ならびに技術実証を行いました。その結果、設備の設置・運用を通じて、ブーアニム村に住む約800人の住民の日常生活から生じる排水を処理することができ、その技術の効率性、メンテナンスのしやすさ、環境負荷の低さ、そしてコスト効率において優れていることが確認できました。イースクエアは本プロジェクトを含む合計3つのUNIDO海外支援プログラムの案件に外部コンサルタントとして参加し、現地調査や技術実証等を側面支援しました。
日之出産業は、本事業で作った現地ネットワークを通じ、本プロジェクトの実施後に現地業者より当該製品・技術への問い合わせがあり、その結果、追加で4台の汚水処理設備の販売を実現することができました。
まとめ
STePPは、UNIDOの公的な支援を無償で受けながら海外のネットワークを広げられるサービスで、中小企業にとっても価値が高い仕組みです。日之出産業の事例にもあるように、UNIDOが提供するサービスを活用することで現地調査や技術実証のプロジェクトへの挑戦も可能となっており、海外展開に慣れていない企業でも挑戦することができます。また、STePP登録企業のみを対象とした支援プログラムもUNIDO東京事務所によっていくつか実施されており、それもSTePP登録の魅力のひとつになっています。
イースクエアでは、STePPへの登録や国連機関を含む公的機関が提供する海外展開スキームへの申請支援なども行っています。ご関心のある方は、ぜひ、お気軽に以下までお問い合わせください。
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