東京都が開発途上国の社会課題解決に取り組むスタートアップ支援を開始!
2023年10月31日、東京都が都内に事業所を持つスタートアップ企業を対象とした、開発途上国の社会課題解決に資するビジネスの支援事業(GlobalXpander Tokyo)を発表しました。
これは、途上国での事業実施を計画している都内スタートアップに対し、海外進出前の計画策定、コンセプト検証等をサポートするプログラムです。2023年11月8日にオンライン説明会が開催されましたので、その内容も含めてプログラムの概要をご紹介します。
GlobalXpander TokyoのWebサイト
応募対象者
東京都のホームページには、応募対象者の条件として以下の3つが記載されています(下線はイースクエアによる)。
- 開発途上国への海外展開を志し、近い将来、対象国(DACのODA受取国リスト(2022-2023年度版)掲載国)での事業開始を計画しているスタートアップ
- 革新的なアイデアに基づくビジネスモデルにより、新たなビジネス領域で成功し、急速に成長することを志向するスタートアップ
- 創業(第二創業含む)後10年以内の都内の法人(支店、営業所等の都内に事業所を有する事業者を含む)
まとめると、開発途上国を事業対象地とし、急速な成長を目指す創業後10年以内の都内スタートアップということになります。
募集分野
開発途上国の社会課題解決に資するテーマであればすべての分野で応募可能なものの、以下の3分野の案件が優先して採択されるそうです(説明会質疑応答による)。
- 基礎的ニーズ分野(保健、教育、食・農業、ジェンダー等)
- 都市課題分野(交通、防犯、金融、通信・デジタル化等)
- 環境分野(水、気候変動、環境保全等)
採択予定件数および予算
採択予定件数は10社、1件あたりの予算は1,200万円(税別)となっています。なお、このプログラムは事業経費の一部を補助する「補助金」ではなく、業務従事者の人件費や渡航費、外注費などを含め、基本的に全ての事業経費がカバーされる「業務委託」です。
事業の対象となる活動
この事業は、開発途上国を対象とした製品・サービスの検証(フィージビリティ・スタディ)を行うものであり、 初期仮説立案、ニーズ調査、詳細調査(検証)、パートナー開拓のフェーズを対象としています。なお、検証する製品・サービスは、これから開発するものは対象外で、既に開発されているものであることに留意が必要です(説明会の質疑応答より)。
出典:東京都の募集要項
対象経費
採択予定件数は10社、1件あたりの予算は1,200万円(税別)となっています。なお、このプログラムは事業経費の一部を補助する「補助金」ではなく、事業経費は基本的に全てカバーされます。
積算方法や対象となる経費は、経済産業省の「委託事業事務処理マニュアル」に準じます。同マニュアルのP6「主な対象経費項目及びその定義」に記載があるのが下表です。
この表を参照すると、通常のフィージビリティ・スタディに係る費用はほぼカバーされることが分かります。
なお、安定収益源が確立していないスタートアップ企業にとっては、本事業に従事するスタッフの人件費も対象経費になることはかなり大きいでしょう。また、自社内で賄えない業務については再委託・外注することも認められていることも重要です。
審査基準・方法
外部専門家により構成する審査委員会において審査・採択を行います。募集要項には審査基準として下表の3項目が挙げられています。
出典:東京都の募集要項
採択・事業開始までのスケジュール
採択までの流れは以下の通りです。
2023年11月30日:応募締め切り
2023年12月下旬:一次審査(書類審査)
2024年1月9日~11日:二次審査(外部審査員によるオンライン面接審査)
2024年1月中旬:採択発表
採択後、3か月弱の準備期間を経て、2024年4月から実際の事業が始まる想定です。
出典:東京都の募集要項
事業スケジュール
2024年1月中旬に採択が発表された後、同年3月末まで準備期間があり、実際に事業を開始できるのは来年度の2024年4月です。2024年12月までに現地渡航を終わらせて調査報告書をまとめ、2025年3月に成果報告会で実施内容を報告する想定になっています。
出典:東京都の募集要項
よくある質問と回答
GlobalXpander Tokyoの募集要項は、JICA、環境省、経済産業省などのスキームに比べてかなりシンプルに書かれている印象があります。募集要項を補足する資料として「よくある質問と回答」がこちらに掲載されていますので、応募を検討されている方は一通り目を通されることをお勧めします。
まとめ
今回は、東京都の新たな支援策、スタートアップ支援事業(GlobalXpander Tokyo)をご紹介しました。1案件あたり1,200万円(税別)という金額は、事業内容によっては小さく感じる企業もあるかもしれません。しかし、人件費、渡航費、外注費を含む様々な経費が対象になることや、「手続きや各種計画書の簡素化を目指し、資金使途に柔軟性を持たせ、効果的な検証の実施を目指します。」(募集要項より抜粋)と謳われていることを考えると、かなり使い勝手の良い資金と言えそうです。調査期間も比較的十分確保されています。社会課題の解決に資する事業を途上国で展開されようとしている東京都内に事業所を持つスタートアップ企業はぜひ応募を検討してみてはいかがでしょうか。
イースクエアもGlobalXpander Tokyoを含め、各種公的支援策への応募や実施のご支援を行っていますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
<参考情報>
東京都のニュースリリース(2023年10月31日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/10/31/19.html
GlobalXpander Tokyoのサイト
https://globalxpander.metro.tokyo.lg.jp/
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