海外で事業を行う際のコスト
企業が海外市場への進出を検討する際、拠点設立や事業展開にかかるコストの把握と、そのコストに見合う収益が期待できるかどうかの検討は、成功の鍵を握る重要なプロセスです。
海外進出は、新たな成長機会や市場の開拓といった多くの可能性を秘めていますが、一方で、現地特有の規制や商習慣の違い、予想外のコストが事業の継続性に影響を与えるリスクも存在します。そのため、事前に費用を明確にし、総合的な収支バランスをシミュレーションすることが欠かせません。
こちらの記事では、海外進出において想定される主なコストをカテゴリー別に整理し、それぞれの概要を説明します。さらに、コストを効率的に抑えるための具体的な施策や利用可能な支援サービスについても触れています。海外進出を計画する企業が現実的な視点で事業戦略を立てる際の一助となると幸いです。
-
市場調査・分析費用
- 新たな市場の需要や競合分析にかかる費用。これは、事前の市場リサーチや消費者動向、文化的な違いを調べる費用です。
- 具体的な市場調査の方法としては、JETRO海外ミニ調査サービス(https://www.jetro.go.jp/services/quick_info/)の活用や、海外進出支援を行っているコンサルティング会社に依頼することが考えられます。
-
法人設立・法的手続き費用
- 現地法人の設立、法的許可の取得、ビザ手続きなどにかかる費用。法律や規制が国ごとに異なるため、現地の法律に従った準備が必要です。
- 国によっては、投資誘致機関がワンストップサービスを提供している場合があるので、活用することでコスト削減と時間短縮になる可能性があります。
-
税務・会計コスト
- 現地の税務や会計システムに対応するための費用です。税務コンサルタントの利用や現地の会計システムに適応するためのコストも含まれます。
- 国によっては、投資誘致策の一環として輸入関税や法人税等の優遇措置があるので、事前に確認が必要です。
-
物流・輸送コスト
- 製品や資材の輸出入にかかる物流コストで、輸送費、関税、通関手続きなどが含まれます。
- 日本と二国間で経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を締結している国や、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や地域的な包括的経済連携(RCEP)のような地域貿易協定に加盟している国の場合、品目によって関税の減免措置があるので事前に確認が必要です。
- 物流会社は、特に発展途上国向けでは、輸出先の国に拠点や協力会社があり、輸出実績がある会社を選ぶ方が、不要なトラブルを避けることができ、最終的なトータル・コストを抑えることができる可能性が高いです。
-
人件費
- 現地スタッフの採用や、日本から派遣される社員の給与、現地の福利厚生などの人件費が発生します。
- 現地スタッフは、高学歴で実務経験が豊富なマネジメント向けの人材や現場の作業員、現地在住の日本人など様々な人材がいますが、それぞれメリット・デメリットがあります。事前にどのようなレベルの人材をどれくらいの予算で採用するのか計画し、採用活動を行うことで、ミスマッチを防ぎ、無駄な人件費を抑えることができます。
-
マーケティング・広告費用
- 現地でのブランド認知向上や顧客獲得のためのマーケティング活動の費用です。広告、プロモーション、現地向けのキャンペーン費用が含まれます。
- 海外の展示会出展への公的機関からの補助金・助成金があるので、それを活用することで、コストを抑えることができる可能性があります。
-
不動産・オフィス費用
- オフィスや工場などの設立・レンタル費用。現地の物件購入や賃貸契約にかかる費用です。
- 現地の有力なパートナー企業によるOEM生産などの協力を得ることや、現地の日系企業で遊休生産ラインがある工場を活用することで、コストを抑えることができる可能性があります。
-
インフラ整備費用
- 電話、インターネット、ITシステムなどの整備費用や、企業活動に必要なインフラを整備するコストが含まれます。
-
トレーニング・教育費
- 現地スタッフに対するトレーニングや日本からの技術移転などにかかる教育費用が含まれます。
- 日本から派遣する駐在員や技術者の語学訓練や、現地の法令、税制などの教育費用も必要な場合があります。
-
リスク管理コスト
- 海外での事業展開にはさまざまなリスクが伴うため、保険やリスク管理のための費用も考慮が必要です。
企業がこれらのコストを管理し、収益性のある進出戦略を立てることが重要です。また、進出後も現地での運営コストや法的な変更への対応などが発生するため、継続的なコスト管理も欠かせません。
今後、イースクエアが海外展開支援を行っている主な国や地域の具体的なコストについて、できるだけ詳しく情報を発信していく予定です。
イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、日本の優れた技術や製品の海外展開をご支援しています。
ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。