インドのスタートアップエコシステムが注目を集めるようになってきています。背景には、有能な人材の集積、資金調達の機会の拡大、政府による支援策の拡充などがあります。本稿では、インドにおけるスタートアップエコシステムについてご紹介します。

スタートアップエコシステムの概況

インドにおけるスタートアップの規模は、過去数年で急激な成長を達成しており、現在では世界第三位の規模にまで成長しています。これまでに、約68,000社スタートアップが立ち上がり、2014年以降の資金調達の総額は約21兆円(141BilionUSD)に達したと言われています。

<参考情報> 
Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023

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出典:Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023よりイースクエア作成

主な成長セクターとしては、eコマース、エンタープライズテック、フィンテック、ヘルステック、エドテックが挙げられており、2030年時点の市場規模は以下が想定されています。

成長セクターの2030年市場規模予想

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出典:Inc42, The State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023

また、インドの地域別でスタートアップ企業のハブになっている地点は、ベンガルール、デリー、ムンバイの順で、インドの主要都市と合致しています。ベンガルールは、優秀な人材が豊富である点が強みとなっており、Google、アマゾン、マイクロソフトなどのテック系のグローバル企業が研究開発拠点を構えています。また、カルナタカ州政府もKarnataka Digital Economy Missionを推進し、インキュベーションセンターの設立などを通じて積極的にスタートアップ支援をおこなっています。

<参考情報> 
JBIC、インドの投資環境/2023年2

インドにおけるスタートアップHub(地域別)

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出典:Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023よりイースクエア作成

投資家の種類としては、エンジェル投資家が57.9%と最も多く、次いで、VC/PE、企業&CVCの順となっています。

インドにおける投資家の種類

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出典:Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023よりイースクエア作成

インド政府が進める支援策としては、Ministry of Commerce and Industry(インド商工省)が進めるスタートアップ支援策であるStartup Indiaがあります。本支援策では、以下に挙げる支援策を推進しており、スタートアップの環境整備を進めています。

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出典:経済産業省「東南アジア・インドにおけるスタートアップ投資の現状と日本企業への提言」よりイースクエア作成

また、本年9月に開催されたG20の議長国であるインドでは、スタートアップのエンゲージメントグループとして「スタートアップ20」を立ち上げています。この取り組みは、20231月に開始され、各会合においてスタートアップに関係する政府関係者、スタートアップのファウンダー・投資家、アクセラレーションなどの支援機関、ビジネススクールの研究者等、スタートアップエコシステムの多数の関係者を招待して開催されています。本年7月に開催されたサミットでは、米国、英国、インド、インドネシア、日本、バングラデシュ等、約150社のスタートアップが参加していました。また、この取り組みでは、成果文書として、ポリシーコミュニケがまとめられており、13の推奨事項、39の政策指令、これらを統合した5つのアクション事項が記載されています。

<参考情報>
JETRO、「スタートアップ20」、インドがリーダーシップ発揮(2023

インドのスタートアップ企業との連携方法

日本の中小企業にとって、自社の海外進出や新たな製品・サービス開発を目的として、海外のスタートアップ企業と連携することは一つの手段になると思われます。一方、インドのスタートアップ企業と知り合ったり、連携する機会はまだ多くはありません。そこで、JICAや経済産業省ではビジネスマッチングの機会を提供する取り組みを推進していますので、ここでご紹介したいと思います。

JICASDGsビジネス共創ラボ-つながるラボ」

JICAインド事務所では、日本企業と社会的企業やスタートアップ企業をつなぐ場として、「SDGsビジネス共創ラボ-つながるラボ」を運営しています。この取り組みでは、インドの社会的企業やスタートアップのビジネスマッチング支援、各種イベント開催、日本企業とインド企業の連携事例の紹介などを行っています。直接JICAインド事務所の窓口に申し込むことでこの取り組みに参加できます。

経済産業省 Japan-India Startup Hub

日本の経済産業省とインドの商工省では、日本とインドのスタートアップ企業の連携の促進を目的して、オンライン・プラットフォームである日印スタートアップ・ハブを運営しています。本サイトでは、インドのスタートアップ企業の紹介やピッチセッションの運営などを行っており、インドのスタートアップ関連の情報収集や関連するスタートアップ企業へのアクセスが可能となっています。

イースクエアも上記の「SDGsビジネス共創ラボ-つながるラボ」に参加しており、定期的に開催されるイベントに参加することで、現地スタートアップ企業や日本企業の進出・連携事例などの情報収集が可能となり、現地のスタートアップエコシステムの理解が進みました。海外展開や現地スタートアップとの連携はまだ考えていないという企業にとっても、まずは、情報収集の窓口として、上記のような無料のサービスを活用してみるのも一案と思います。

イースクエアでは、上記のサービスの活用方法や現地情報の収集、現地パートナーの発掘などのご支援も行っておりますので、ご不明な点は気軽にお問い合わせください。

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