イースクエアでは、公的な補助金を活用して企業のリスクや資金負担をなるべく軽減しながら、企業の海外進出をご支援しています。補助金は長年にわたって実施される定番的なものがある一方、単年度だけで実施されるものもありますので、常にアンテナを張っておくことが重要です。

今回は令和5年度補正予算で大きな注目を集めている通称「グローバルサウス補助金」(正式名称:グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金)についての続報をお届けします。前回記事では、公募前の情報を基にご紹介しましたが、その後FS事業および小規模実証事業の正式公示があり、2024417日から電子申請受付が開始されましたので、改めて内容をご紹介します。

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出典:グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金のWebサイト

事業目的

グローバルサウス諸国が抱える課題を解決することを通じて市場の成長力を活かし、日本国内のイノベーション創出等により国内産業活性化を目指すと共に、グローバルサウス諸国との経済連携を強化や本事業の実施による事業実施国への裨益を実現するため、日本企業が行う事業実施可能性調査事業(以下「FS事業」)及び小規模実証事業(以下「実証事業」)の実施に必要な費用の一部を補助するという内容になっています。

つまり、ビジネスを通じてグローバルサウス諸国の課題解決に取り組もうとする企業を対象に、補助金を通じて支援するスキームになっています。

対象事業

今回の募集はFS事業(上限1億円)と実証事業(上限5億円)に分かれます。なお、FSは設備や装置の導入を伴わないもの、「実証」は伴うもの、という区分けになります。

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出典:グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金のWebサイト

グローバルサウス補助金の補助対象経費

グローバルサウス補助金では、様々な経費が補助対象になります。例えば、人件費、旅費、会場費、謝金、 消耗品費、機械設備費・システム購入費、委託・外注費、印刷製本費、補助員人件費などが挙げられます。ただし、・土地・建物等施設に関する経費や車両購入費などは対象外となっています。

採択予定数と採択金額

FS事業、実証事業、合わせて20件程度となっています。令和5年度予算額約32億円(うち事務局経費が約10%)が補助金の原資となりますので、平均で1件あたり1.5億円程度を想定していると言えるでしょう。なお、実際にはFS事業の上限金額は1億円ですので、実証事業の平均金額は23億円程度になると思われます。それなりの規模感の案件を想定しているものと思われます。

なお、前回記事でもグローバルサウス補助金は大型予算だとお伝えしましたが、今回の公募での採択金額が小さいと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。実は今回発表された予算約32億円は令和5年度予算であり、次年度以降の予算を含む総額は約279億円(うち事務局経費が約10%)になっていますので、第2回公募以降により多くの予算が振り向けられるものと思われます。今回の公募については採択件数が少ないため、かなりの高倍率になることが想定されます。

グローバルサウス補助金活用の際の留意点

グローバルサウス補助金を活用するにあたって留意すべきことがいくつかありますのでご紹介します。

  • 本事業はグローバルサウス諸国の課題解決を目的にしていますが、課題解決につながればどういった事業でも対象になるわけではありません。公募説明会の資料P8に記載のある通り、日本でのイノベーション創出、デファクトスタンダードの確立、日本国内の雇用増加、サプライチェーン強靭化など、日本国内の産業への波及効果が期待される案件が対象となっています。
  • 中小企業の補助率は2/3、それ以外の企業は1/2です。ただし、中小企業が大企業と組んで共同申請する場合は補助率が1/2になりますので留意が必要です。
  • 補助事業者が自社製品を補助対象としたい場合、その製品価格に含まれる自社の利益を差し引く必要があることには注意が必要です。
  • 募集要項には「必要があると認められる経費については、概算払を行う」との記載がありますが、補助金の支払いは、原則として事業終了後の精算払いとなります。そもそも1/3もしくは1/2は補助事業者の自己負担ですが、残りの補助対象経費についても申請者がまず支出する必要がありますので,、綿密な資金計画を作っておくことが大事です。
  • 今回の公募については、事業実施期間は2024228日までになっています。この日まで原則、各種補助対象経費の支払いを終わらせている必要があります。現地への設備導入などを伴う実証事業の場合、かなりタイトなスケジュールになることが想定されますので、しっかりしたスケジュール管理が必要です。

まとめと今後の公募予定

大型予算と期待されていたグローバルサウス補助金ですが、20244月に公示された分については全体のごく一部分に留まりました。HPで公開されているQAによると、今後複数回の公募が予定されています。今回の募集については年度内に全てを終わらせるスケジュールでしたが、次回公募については年度をまたいでの事業実施が認められる見通しです。今回の公募に準備が間に合わなかった方や、十分な実証期間を確保されたい方は次回以降の公募に向けて準備されることをお勧めします。

イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、お客様のニーズに合わせて、オーダーメイドで海外ビジネス展開をご支援しています。

ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。

<参考情報>
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金のWebサイト
https://gs-hojo-web.jp/

令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」に係る補助事業者募集要領
https://gs-hojo-web.jp/assets/files/BY_240419.pdf?240424

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