筆者はアフリカに計8年ほど住んでいました。1994年にジェノサイドという悲劇が起こった東アフリカのルワンダに2年、世界で活躍するバスケットボール選手である八村塁選手のお父さんの出身国である西アフリカのベナンに6年です。今回は、アフリカでの暮らしで驚いた「アフリカのどこでもコカ・コーラが手に入る」という経験をお伝えします。

アフリカの都市部と地方の環境のちがい

そのときの住まいは首都かその近辺に住んでいたのですが、仕事やプライベートでも地方に行く機会が何度かありました。首都で住んでいたときの食事は、日本ではコンビニと同じようなサイズ感の小ぶりなスーパーマーケットで食材を買ったり、ローカルなレストランや中華料理屋などで食べたりしていました。Rwanda_kigali.jpg.JPG

ルワンダの首都キガリ

しかし、日本でいうド田舎と言われるレベルのアフリカの地方は、向かう途中から未舗装のガタガタ道を長時間移動します。日本だと車では絶対に入らなそうなところにも入っていきます。初めてアフリカで地方に行った際は到着した時点でクタクタになりました。

食事は、スーパーマーケット的なお店はなく、露天のような形式で野菜や穀物を並べて売る「野外市場」で買い物をします。また、レストランも農村部には数えるほどしかないので、そこに行くとだいたい村のおなじみの方々に会うといった感じです。

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セネガルのとある農村部

地方にはミネラルウォーターが無くてもコカ・コーラはある

そこで何度か経験したことがあるのは、ミネラルウォーターが売り切れているのにも関わらず、コカ・コーラはある、ということでした。実は、現地にはミネラルウォーターを飲む人もいますが、地方ですと基本的には井戸水、場合によっては川の水を飲みます。首都でも水道水を普通に飲む人が多いです。そういえば日本も30年ほど前は普通に蛇口の水を飲んでいましたね。アフリカの多くの国、特に地方では一般庶民にとってボトル入りのミネラルウォーターはまだまだぜいたく品で、わざわざお店で買うものではないのです。

なお、ミネラルウォーターがそこまで流通していなくても、井戸の水が手に入れば現地の方々は大丈夫なのですが、免疫がない私たちが井戸水を飲むとお腹を壊してしまう可能性が高いのです。ですので、そういった時は在庫のあるコーラを水替わりに飲むことになります。コーラは美味しいですが、やはり水が恋しくなります。

アフリカのどこでもコーラが手に入る理由

帰宅する長距離バスの道中にふと、「なぜ、こんな物流が大変なところまでコカ・コーラが普及しているのか」という疑問が湧きました。調べてみると、コカ・コーラ社が現地の状況に合わせたサプライチェーンを構築していることが分かりました。

コカ・コーラはフランチャイズモデルを採用しており、コカ・コーラ社は濃縮シロップのみを製造し、それをコカ・コーラのフランチャイズ契約を交わした業者(ボトラー)に販売しています。ボトラーは、シロップを濾過水および甘味料と混合して最終的な飲料を製造し、缶やボトルに詰める前に炭酸を加えて配送用のケースに詰めます。

ここまでは世界共通です。一般的にはそこから大型トラックで各地の配送センターに送り、そこからさらに小型トラックで小売店に運ぶという物流方法を取りますが、先ほどお伝えしたように、アフリカの地方には車がギリギリ通れるか通れないかといった道が多くあります。

そこで、1999年頃に東アフリカのとあるフランチャイズオーナーが、都市部から地方の小売店に商品を配送するために可能な限りの手段を使ったそうです。具体的には、バイク、手押し車、ロバ車、自転車、時には手で持って運ぶということもしたそうです。コカ・コーラはこのやり方を参考にし、地方専用の配送センターを導入し、地方にもコカ・コーラを流通させることに成功したのだそうです。

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また、もう一つこの流通が成功した要因として、このサプライチェーンに関わるすべての人たちがそれなりのお金を稼げるようなビジネスモデルにしていることがあります。この物流を可能にしているのは、特にラストワンマイルともいわれる通常の配送では届けられないところに、自転車など人力で届けている人たちのおかげですが、彼らが満足の行く報酬がもらえなければ成り立ちません。

<参考情報>
Doing business in Africa the Coca-Cola way(How we made it in Africa
https://www.howwemadeitinafrica.com/doing-business-in-africa-the-coca-cola-way/2433/

まとめ

アフリカで水が売り切れていてもコカ・コーラが手に入る理由、それはミネラルウォーターはそれほど売れないのでお店側が在庫確保にそれほど熱心ではないこと、一方、コカ・コーラは地方の隅々まできめ細かく強靭な流通網を築いていることでした。ミネラルウォーターもコカ・コーラも日本で普通に売られているものですが、ところ変われば流通の状況も変わるものです。

現在アフリカなどの新興国に進出している、あるいはこれから進出を考えている日本企業(特に製造業の)は、現地に合わせたサプライチェーンの構築と、そこに関わるすべての人たちが満足するバリューチェーンの構築を考えることが重要です。もし、このような事例を他にも知りたい、自社のビジネスにおけるサプライチェーン・バリューチェーンの構築を相談したい方はお気軽にお問い合わせください。

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