「日本企業にとってアフリカでのビジネスが難しい理由」で、成長するアフリカ市場においてなぜ日本企業がビジネスを展開することが難しいのか、以下の6つの理由を挙げました。

  1. インフラの不足
  2. 制度・規制の不透明さと複雑さ
  3. 政治的・経済的な不安定性
  4. 人材の確保・育成
  5. 文化・言語の違い
  6. 所得水準の低さ

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今回はこういった課題に対し、日本企業はどのように対処し、アフリカにおけるビジネスを成功させていけばよいのか考えてみたいと思います。

アフリカビジネス難しい2.pngナイジェリア連邦共和国のスーパーマーケット店頭(ラゴス)(2012年)

1. インフラの不足

道路、通信、電力などのインフラの整備状況はアフリカ内でも国によって大きく異なりますので、自社が行おうとしている事業に関係するインフラが整備されている国を事業地として選択することが重要です。また、近年アフリカ諸国ではインフラ整備が急速に進んでいますので、最新情報の確認が必要です。公共インフラに頼れない場合は、自家発電設備や自前の井戸を持つなど、外部環境になるべく左右されづらい事業環境を整えるといった対策も必要です。かつてタンザニアのダルエスサラームに電池工場を抱えていたパナソニック(株)は、系統電力の停電や電圧変動に備えて大容量の自家発電装置やスタビライザー(自動電圧安定器)を設置していました。

また、自社の技術やノウハウを活用して、インフラ整備に参加するという可能性もあります。 日本企業は、道路、橋、港湾、通信などのインフラ整備プロジェクトに参画することで、それ自体が事業になる可能性があります。

現地の企業や政府と協力関係を築くことで、インフラ整備プロジェクトに共同で参加することもできるでしょう。現地のパートナーとの連携により、地域のニーズや制約に適切に対応できます。

ヤマハ発動機(株)は、宅配サービスが発展途上のウガンダ共和国において、オートバイを使った宅配事業を行う日系ベンチャー企業を買収し、同国で事業を行っており、隣国のタンザニアにも事業を拡大する予定です。

2. 制度・規制の不透明さと複雑さ

制度や規制の不透明さに対処するために、日本企業は現地パートナーの確立が大切です。現地の企業や法律事務所など、現地の文化や制度に精通したのパートナーと協力し、現地の法的要件や規制に関するアドバイスを受けることが重要です。

また、ジェトロ(日本貿易振興機構)、UNIDO(国連工業開発機関)東京、JICA(国際協力機構)なども現地に事務所を構え、日本企業の情報収集を支援していますので、そういった機関を活用することも効果的です。

3. 政治的・経済的な不安定性

まず、政治的・経済的に安定した国を事業地として選ぶことが重要です。また、単一の市場や国に依存せず、複数のアフリカ諸国にビジネス展開することで、リスクを分散することも検討に値するでしょう。

軍内部の衝突によって数十万人の死者と数百万の難民を生み出したスーダンの状況は、スーダン国内だけではなく、周辺国にも不安定な状況をもたらしています。

一方、1994年に民族対立によって、約100日間に80万人以上が殺されるという歴史上稀に見る大虐殺が起きたルワンダでは、その後「アフリカの奇跡」と言われるほどの発展を遂げ、現在はIT立国としても知られています。状況は刻々と変わりますので、イメージだけで判断せず、最新の情報を確認することが重要です。

海外の安全情報については、外務省の海外安全ホームページも参考になるでしょう。

4. 人材の確保・育成

アフリカの事業の中核を担う人材として、アフリカでの事業経験を持つスタッフを雇用することが重要です。アフリカで事業を行う日系企業はまだ多くないため、人材の確保に苦労する企業も少なくありませんが、JICAが発展途上国に派遣する海外協力隊(青年海外協力隊)のOB/OGを雇用するという方法は有効です。JICAが運営する、グローバル人材のマッチングサイト、PARTNERではアフリカを含む海外事業での活躍を目指す海外協力隊のOB/OGが数多く登録しています。

また、日本に留学経験のあるアフリカ人を雇用するという方法もあります。ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ:African Business Education Initiative for Youth)は、アフリカの産業人材育成と日本企業のアフリカビジネスをサポートする「水先案内人」の育成を目的として、アフリカの若者を日本に招き、日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機会を提供するプログラムです。2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で日本政府から発表され、2014年に第一期生の受け入れが開始されました。それ以降、アフリカ全54か国から、延べ約1,600人(202212月現在)が本プログラムに参加しています。

日本に留学したアフリカ人は日本の文化や日本語を理解し、日本に恩義を感じ、好感を持っている人材ですので、ぜひABEイニシアティブ(卒業生の活用を検討してみてはいかがでしょうか。ABEイニシアティブでは、企業で実習を行うインターン制度もありますので、こちらの制度を活用してアフリカの若者を受け入れることもお勧めです。

5. 文化・言語の違い

現地の文化や習慣に敬意を払いながら、現地の市場に適応するために、製品やサービスのローカライズを行うことが重要です。現地のニーズや好みに合わせたマーケティングや広告戦略を展開することが必要です。そのためには現地の文化や慣習、言語などに熟達したスタッフを雇用したり、外部の専門家のアドバイスを受けたりすることが有効でしょう。この課題についても、先述した協力隊OB/OGの活用、ABEイニシアティブ卒業生の活用が有効でしょう。

6. 所得水準の低さ

アフリカ諸国においては、現地の所得水準に合わせた価格戦略を展開することが重要です。現地の需要と購買力を考慮して、価格帯や販売戦略を最適化することが必要です。また、日本やその他の先進国向けとは異なる、低コスト製品・サービスの投入も有効でしょう。

例えば、アフリカの多くの国では日本車を多く見かけますが、その多くは新車ではなく中古車です。日本車が数多く使われていることにより、部品販売やメンテナンスの需要も生まれています。岐阜県の企業であるセントパーツ(株)では、2015年にタンザニアに子会社を設立してタンザニア市場に進出し、中古車や自動車部品の販売、車両整備などの事業を行って事業が好調です。

また、調味料大手の味の素(株)では、アフリカを含む発展途上国では、大袋ではない「サチェット(sachet)」と呼ばれる1食使い切りサイズの小袋で調味料を販売し、貧困層から支持されています。

 

日本企業がアフリカ市場を攻略するためには、この記事で挙げたような様々な視点から現地の課題を想定の上、対応策を検討し、実行していくことが重要です。例として挙げた日本企業の取り組みや対応策を、今後のアフリカビジネス展開の参考にして頂けると幸いです。

イースクエアのアフリカ進出・展開支援

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弊社は、2010年よりアフリカを始めとする開発途上国・新興国での日本企業のビジネス展開を市場調査、製品・技術開発(ローカライゼーション)、現地パートナーの発掘、テスト販売、ビジネスモデル構築・改善、公的機関などの補助金・助成金など申請など、お客様のニーズに合ったサポートをご提供します。アフリカでの多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有する弊社コンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、企業様のアフリカでのビジネス展開をオーダーメイドでご支援します。

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