日本のIT人材不足を救う?70万人規模のアフリカIT人材の採用可能性
近年、ChatGPTに代表される生成系AIなどの新しいデジタル技術が急速に普及しており、全ての産業においてデジタル化が進んでいます。これによって経済の活性化が期待されていますが、一方で日本ではIT人材不足が深刻化しています。経済産業省の調査によれば、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると推計されており、海外からの優秀なデジタル人材の確保が急務となっています。
日本のIT人材需給
出所:経済産業省
これまで日本はアジアを中心に外国人IT人材の発掘・採用を行ってきましたが、近年はアジアの高度IT人材の需要増によって平均給与が上がり、彼らを雇用することも難しくなってきている状況です。こうした中で、アフリカではソフトウェア開発者の数が著しく増加しています。今回は、アフリカのソフトウェア開発者の現状と未来についてご紹介します。
※本記事は、「令和4年度 技術協力活用型・新興国市場開拓事業 (制度・事業環境整備事業(開発途上国のIT人材育成を通じた事業環境整備)) 事業報告書」を元に作成しています。
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アフリカの国別IT市場の現状と未来
アフリカの国別ソフトウェア開発者数
アフリカの国別ソフトウェア開発者数は2021年時点で71万人以上と2020年と比べ全体で3.7%増加しています。また、多くの国が政策としてIT人材育成に注力しており、今後も急速にソフトウェア開発者の数が増えていく見込みです。このうち50%が5カ国(南アフリカ、エジプト、ナイジェリア、ケニア、モロッコ)に集中しており、これらの国々はIT分野のスタートアップ企業も多く輩出しています。
アフリカの国別ソフトウェア開発者数
出所:経済産業省
アフリカのソフトウェア開発者の開発言語使用率
次に、アフリカ主要16カ国のソフトウェア開発者が使用する開発言語についてご紹介します。
アフリカ主要国16か国の開発言語使用率
出所:経済産業省
アフリカのソフトウェア開発者は、Web Development関連の言語を57%が頻繁に使うとしており、Android系の開発言語の方がiOS系の開発言語より多く使われているところが特徴的です。また、Africa Developer Ecosystem 2021というレポートでは、世界の開発言語の使用頻度平均と比較すると、PHP(従来のバックエンドのウェブ開発でよく使われる言語)を世界平均より13%多く、HTML/CSSを世界平均より6%多く、Angularを世界平均より8%多く活用している傾向にあります。
<参考情報>
Africa Developer Ecosystem 2021
アフリカのソフトウェア開発者の採用方法
アフリカの優秀なソフトウェア開発者を採用する方法については、ソフトウェア開発者数上位5カ国などには日本のようなエンジニアの採用を支援するサービスを提供している企業が多く存在しています。
OFFER ZENのウェブサイト
上記の「OFFER ZEN」は南アフリカのエンジニア紹介サービスを提供しています。企業は登録をすることでエンジニアを見つけ出すことができるだけでなく、南アフリカのエンジニアに関する有益な情報も得ることができます。
OFFER ZENのウェブサイト
こういったサービスを活用することで、優秀なエンジニアにリーチすることは可能ですが、手数料がかかる上に、採用には他の企業との競争も激しく、給与や待遇を相当に良くする必要があります。以下は、少し地道なアプローチになりますが、もう少しコストを抑えて採用したい方にお勧めの方法です。
その方法は、コーディングブートキャンプ※にスポンサー企業として参画し、卒業生を雇用することです。
※コーディングブートキャンプとは、アメリカのシリコンバレーで始まった短期集中型でプログラミングに必要なスキルを学ぶ方法で、世界的に有名なIT教育プログラムとなっています。一般的には企業などの組織がスポンサー参画・運営を行い、無償・有償で短期集中コーディング教育を実施し、実践的なエンジニアを輩出しています。
南アフリカのコーディングブートキャンプ
出所:OFFER ZEN
先述したOFFER ZENがまとめている南アフリカのブートキャンプ名を検索すると、サイト内に参加の条件や採用に繋げるための方法が記載されている場合もあります。キャリアが浅くてもコーディングブートキャンプで実績を得たエンジニアは採用コストを抑えられる場合もあり、エンジニア紹介サイトと比べて競争率が低いと思われます。
また、自社でコーディングブートキャンプを実施するという方法もありますが、その際はコーディングブートキャンプを提供する事業者と連携するのが早道です。イースクエアは、それらのネットワークを有しておりますので、事業者との連携をご検討される際は、お気軽にご相談ください。
その他のコツとしては、「日本企業ブランド」を前面に出していくという方法もあります。アフリカはトヨタやパナソニックなどの日本企業の製品や、アニメ・ゲームなどのエンターテインメントの質の高さ非常に高く評価する人材が多くいます。これらの層に対しては日本企業で働くことを魅力に感じている者もいるため、日本の企業で働けることを募集情報に発信するのも良いと思います。
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まとめ
今回はアフリカのIT人材採用の可能性についてご紹介しました。優秀なIT人材の獲得に苦戦している企業やアフリカでのIT関連産業に進出を考えている企業などにとって、ご参考になると幸いです。イースクエアは、ITに限らず、アフリカにおける市場調査から現地ビジネスの立ち上げ支援サービスまでを行っています。詳しくは以下をご覧ください。
イースクエアのアフリカ進出・展開支援
弊社は、2010年よりアフリカを始めとする開発途上国・新興国での日本企業のビジネス展開を市場調査、製品・技術開発(ローカライゼーション)、現地パートナーの発掘、テスト販売、ビジネスモデル構築・改善、公的機関などの補助金・助成金など申請など、お客様のニーズに合ったサポートをご提供します。アフリカでの多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有する弊社コンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、企業様のアフリカでのビジネス展開をオーダーメイドでご支援します。
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