こんにちは。イースクエア代表の本木啓生です。

季節はめぐり早くも秋らしい日々を迎えています。

イースクエアが主催するフロンティアネットワークでは、この9月に「人権」と
「シェアードバリュー(CSV)」による2つのワークショップを実施しました。

人権はロンドンのIHRB(人権とビジネスの研究所)代表のジョン・モリソン氏
に、シェアードバリューはサンフランシスコのFSGのチャット・ボリック氏に
それぞれ来日してもらい、グローバルの視点でいま何が起こっているのか、ス
テークホルダーの関心事はどう変化しているのか、企業が取り組みを進めてい
く上での肝はなにかなど、様々な論議を行いました。

どちらもそれぞれのテーマの第一人者であり、様々な示唆を得ることができ、
参加者の皆さんから高い評価を頂いたセッションとなりました。

モリソン氏の話で印象深かったのは、かつて企業が人権リスクに関して知らな
ければそれでよく、知ってしまうことが企業にとってリスクや重荷であると考
えられていたこともあったが、今は知らないこと自体が大きなリスクとなる時
代になっている、ということでした。正しい知識を得て、透明性を高めて社内
外に報告していくことが、ステークホルダーから期待・要求されているのです。

これがいわゆる人権デューディリジェンスの取り組みの第一歩ですが、現状把
握のためにまだ何も手を打っていないということが許されない時代になりつつ
あることを改めて感じました。

シェアードバリューについてもかなり議論が盛り上がりました。シェアードバ
リューを進める上での適切な指標を設定することの大切さや、社会の課題に貢
献しつつ自社の利益を上げていくという事業モデルをどのように作っていけば
良いのかなど、FSGに蓄積されたノウハウ・経験をもとにボリック氏に大いに
語ってもらいました。

事業採算をシビアに見られる事業部門において、中長期的な視点でのビジネス
モデルの開発はハードルがあります。ボリック氏のアドバイスは、自社の持つ
財団や社会貢献予算を活用し、最初の事業モデルを作り、軌道に乗せていくと
いうものでした。

シェアードバリューの推進を考えた場合、特にB2C企業では、結局は自社の利益
のためにやっているのではないかという消費者の批判を懸念することが多いの
も現実です。そうした場合、社会と自社がWin-Winの関係性を作ることこそが長
い目でみると社会貢献という観点からも最も効果的なのだということを理解し
てもらうことも必要になります。

人権についてもシェアードバリューについても、日本ではこれから本格的な取
り組みが始まろうとしています。人的ネットワークやこれまでのプロジェクト
経験などを駆使しつつ、より効果的な取り組みが実現するようご支援をさせて
頂こうと考えています。


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◇◆ 目次
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〔1〕注目CSRニュース - 「収益力と気候変動への取り組みに関連性 CDPが
                 S&P500企業の分析レポートを発表」


〔2〕オルタナCSR monthly - 「機関投資家と企業との対話に向けて」

〔3〕セミナー案内 - CSR部門に異動されてきた方にお勧め
             「CSR速習セミナー秋 理解編」

〔4〕イベント案内(1/2) - イースクエア・サロン
              「海外サステナビリティ先進企業の動向~米国からの報告~」

〔5〕イベント案内(2/2) - 講演会 「世界の権威に、中小企業経営者が問う
              『ロビンス博士、原発がなくても経済は廻るのでしょうか?』」

〔6〕サービス紹介 - 「BOPビジネス支援」


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〔1〕注目CSRニュース - 「収益力と気候変動への取り組みに関連性 CDPが
              S&P500企業の分析レポートを発表」

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このコーナーでは、企業のCSR担当者向け情報サイト、「CSRコンパス」
http://www.csr-compass.jp
から注目ニュースをピックアップしてご紹介します。


今回取り上げるニュースは、「収益力と気候変動への取り組みに関連性、CDPが
S&P500企業の分析レポートを発表」です。

------<CSRコンパスの9月のニュースから転載>--------------------------

気候変動などに関する企業の情報を収集・評価しているCDPは、「CDP S&P 500
気候変動レポート2014~気候変動への活動と収益力(仮訳)
(Climate action and profitability)」と題するレポートを発表した。

今年のレポートは、S&P 500 の米国主要企業を対象に、気候変動への取り組み
と収益力の関連についてまとめられている。特に評価が上位の企業は、CDPへ
の情報開示、温室効果ガス削減に高い目標値を設定、気候変動に対して強力な
ガバナンスとリスクマネジメントを導入、社内で炭素価格を使用といった気候
変動への取り組みを実施することで、将来に備え収益力を保護しているとCDP
は分析する。

評価が上位の企業の特徴は以下の通り。

(1)収益力が高く、ROEは他の評価対象企業に比べ18%、CDPの質問に無回答
   であった企業に比べ67%それぞれ高い。
(2)安定性を確保しており、過去10年において収益の変動が、下位企業に比
べ50%低い。
(3)株主への配当の増加率が下位企業に比べ21%高い。

また、気候変動への取り組みに関する情報公開の高さを測る「カーボン・ディ
スクロージャー・リーダーシップ・インデックス(CDLI)」と取り組み自体の
パフォーマンスを評価する「カーボン・パフォーマンス・リーダーシップ・イ
ンデックス(CPLI)」については、CDLI(A~D評価のA:上位10%)の34社、
CPLIの63社を公表した。アップル、バンクオブアメリカ、マイクロソフト、
シスコシステムズ、HP、GM、などが双方のインデックスに挙げられている。


------<転載ここまで>------------------------------------------------

気候変動対策をしっかり行っている企業の方がそうではない企業に比べて業績
がいい、という調査結果は前向きに取り組んでいる企業にとっては何とも心強
いのではないでしょうか。投資家が投資先を選別する際に、企業の気候変動対
策をチェックする、ということが今後はごく当たり前になってくるかもしれま
せんね。

一方で、業績がよくて余裕のある企業が気候変動対策をやっているだけではな
いか、と批判する人もいるかもしれません。よく考えると、情報のアンテナを
張って、気候変動という企業活動にとっての制約条件・事業環境の変化を適切
に把握し、温室効果ガス削減のためのPDCAサイクルを組織として回していくこ
とは、企業が通常のビジネスで行っているプロセスと同じことなのではないで
しょうか。

ビジネスに秀でている企業は業績もいいし、気候変動対策も秀でている。
考えてみればごく自然なことなのかもしれません。


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〔2〕オルタナCSR monthly - 「機関投資家と企業との対話に向けて」
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イースクエアでは、オルタナが毎月発行しているニュースレター「CSR month
ly」に「サステナビリティ・ウォッチ」と題して寄稿しています。このコーナ
ーでは、オルタナ編集部の許可を得てその寄稿文をご紹介します。


  「機関投資家と企業との対話に向けて」
  イースクエア 大森 慶子

「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)が策
定され、早速 127 の機関投資家(2014 年 5 月末時点)が受け入れを表明し
た。投資家と企業が中長期の価値創造を目指し、対話をしていくという潮流は、
いよいよ日本でも明らかになりつつある。そこに大きく関係するのが環境・社
会・ガバナンス(ESG)の視点だ。

イースクエアでは、関連する 2 つのセッションを 7 月に行った。一つ目が、
企業ネットワーク「フロンティア・ネットワーク(TFN)」での、英ハーミー
ズ・エクイティー・オーナーシップ・サービス(ハーミーズ EOS)のエグゼク
ティブ・ディレクターを招聘したセッションだ。


・・・以下全文は下記PDFをご覧ください。
https://www.e-squareinc.com/reports/pub_pdf/CSRmonthly_vol23_ES.pdf


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〔3〕セミナー案内 - CSR部門に異動されてきた方にお勧め
           「CSR速習セミナー秋 理解編」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

戦略的にCSRを企画・推進するためのノウハウと実践力を身につける
  ― CSRを推進される責任者・実務担当者向けの研修コース ―


イースクエアでは、新任のCSR責任者およびご担当者を応援する研修セミナー
を毎年春と秋に開催しています。

今年の秋は東京での開催に加え、ビューローベリタスジャパン株式会社と共同
で大阪でも開催をします。

新たにCSR関連部署に配属となりCSRをリードしていく方、あるいは体系立てて
もう一度CSRの全体像をとらえ直したい方を主な対象としており、ご受講頂く
ことで戦略的にCSRを企画・推進するためのノウハウと実践力を身につけて頂
けます。

毎回、ご参加いただいた皆様からは、コンパクトに凝縮した構成でCSRの全体像
をつかむことができたと高い評価を頂いています。

多くの方のご参加をお待ちしております。


【開催概要】

 対 象: 企業においてCSRを推進される方(責任者、実務担当者)
       ※新たにCSR関連部署に配属となった方に最適です。

 日 時: 【大阪】 2014年10月7日(火) 9:30~17:00
      【東京】 2014年11月6日(木)10:00~17:30

 参加費: 37,000円(税込) ※昼食代込み

 応募締切:【大阪】10月1日(水) 【東京】10月31日(金)

より詳しい内容やお申し込み方法はこちらをご覧ください。
https://www.e-squareinc.com/news/2014/140908.html


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〔4〕イベント案内(1/2) - イースクエア・サロン
         「海外サステナビリティ先進企業の動向~米国からの報告~」
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毎年2,000人以上がカリフォルニア州サンディエゴに集い、サステナビリティ
をブランド価値の軸としたビジネスの成功モデルと、それを可能にする経済シ
ステムの新しいあり方を議論するサステイナブル・ブランズ会議。

大企業のCEOやいま話題の起業家、NPO、シンクタンク、学識経験者など、各界
の実務家・専門家たちが一堂に会して熱く語り合います。

米国にお住まいで2013年からサステイナブル・ブランズのメディアパートナー
を務められている藤美保代さんがこのたび一時帰国される機会に、今年6月に開
催されたサステイナブル・ブランズ会議の様子をご紹介頂く機会を設けてくだ
さることになりました。

サステナビリティ先進企業のリーダーは何を考え、何を行っているのか、とい
った動向について藤さんが独自に行った多くのインタビューの内容を含めてご
紹介いただく予定です。また、米国のCSRや日本のCSR、そして今後のサステナ
ビリティの方向性について少人数で意見交換できればと思います。

お都合のつく方はお仕事帰りにぜひお気軽にお立ち寄りください。


【開催概要】

 日 時: 2014年11月27日(木)18:30-20:30

 会 場: イースクエア会議室(都営三田線御成門駅A5出口から徒歩1分)
      https://www.e-squareinc.com/about/company.html

 参加費: 無料

 定 員: 20名程度

 応募締切:11月25日(火)
      こちらからお申し込みください。
      http://goo.gl/qdtL50


 ◆藤美保代さんのプロフィール
 2007年より米国カリフォルニア州環境庁に勤務する傍ら2009年にInterAction
 Greenを立ち上げ、北米発の情報を日本に発信中。2013年より、サステイナ
 ブル・ブランズのメディアパートナーとしても活動している。
 InterAction Green: http://www.interactiongreen.com


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〔5〕イベント案内(2/2) - 講演会 「世界の権威に、中小企業経営者が問う
         『ロビンス博士、原発がなくても経済は廻るのでしょうか?』」
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イースクエア会長の木内が世話役の一人を務める一般社団法人 エネルギーから
経済を考える経営者ネットワーク会議(エネ経会議)では、来る10月17日(金)
に東京にて、講演会「世界の権威に、日本の中小企業経営者が問う『ロビンス
博士、原発がなくても経済は廻るのでしょうか?』」を開催します。

今回の講演会では、再生可能エネルギーの世界的な権威であるエイモリー・ロ
ビンス博士をお招きし、世界のエネルギー事情の潮流を共有し、我が国のエネ
ルギーのあり方について議論します。

ご都合のつく方はぜひご参加ください。

【開催概要】

 日 時: 2014年10月17日(金)18:30-21:00(18:00開場)

 会 場: 大手町サンスカイルーム
      東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル
  JR東京駅八重洲北口・日本橋口より徒歩1分

 参加費: 一般1,500円、エネ経会議会員1,000円

 主 催: 一般社団法人 エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議

 協 力: 株式会社イースクエア、NPO法人 環境エネルギー政策研究所 ほか

より詳しい内容やお申し込み方法はこちらをご覧ください。
https://enekei.jp/news/show/id/152


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〔5〕サービス紹介 - 「BOPビジネス支援」
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イースクエアは、アジア、アフリカ地域を中心に現地ネットワークを持ち、企
業の新興国・途上国でBOPビジネス、持続可能な事業創りの支援をしています。

新興国・途上国への進出では、現地視察・調査やステークホルダーとの対話な
どを通じて、現地の社会課題の深い理解とまだ拾い上げられていない需要
(アンメット・ニーズ)を発見する力が求められます。

イースクエアでは現地の専門家やNGOなどのネットワークとサステナビリティ
分野における企業支援の実績を活かし、企業のニーズや事業の進捗に合わせて、
以下のサービスを提供しています。

1. フィージビリティ・スタディ実施支援

2. 海外視察支援

3. 事業機会の発掘支援

4. 新規事業の立ち上げ支援

5. JICA等の公的資金向けプロポーザル作成・調査実行支援


ご関心のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

担当:田村 賢一(03-5777-6730)


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【編集後記】
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近頃めっきり涼しくなった東京を離れ、常夏の国タンザニアに向けて今夜出発
します。広島県尾道市因島にある(株)トロムソのもみ殻固形燃料製造装置
「グラインドミル」をタンザニアに普及させるプロジェクトの現地調査のため
です。

グラインドミルは、おコメの籾を脱穀する際に出るもみ殻を原料にして、棒状
の固形燃料を作る装置です(詳しくは下記Webサイトご参照)。
http://www.tromso.co.jp/grindmill/01/

日本の稲作技術支援などもあり、タンザニアは今やアフリカ有数のコメ生産国
なのですが、コメの副産物であるもみ殻は十分に活用されていません。

今回のプロジェクトではトロムソのグラインドミルを現地に運んで設置。協力
機関にて運転して有用性を確かめます。また、現地の状況に合わせた仕様改良
やコストダウン、現地技術者の育成も目指します。

詳しくは本日のJICA中国のプレスリリースをご覧ください。
http://www.jica.go.jp/chugoku/press/index.html

グラインドミルの設置現場は2つあり、うち1つはアフリカの最高峰、キリマン
ジャロ山の麓にあります。

キリマンジャロ山に映える夕焼けを眺めながらおいしいコーヒーをすする・・・
今回は現地滞在9日間で広いタンザニア国内の3か所を慌ただしく回る予定です
ので、そんなゆとりはないかもしれませんが、日本とは違う気候を楽しんでこ
ようと思います。(担当:柳田)

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