こんにちは。イースクエア代表の本木啓生です。

4月16日に札幌で開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、天然ガスの段階的な廃止についての合意が報じられました。同時期に英国では、「Extinction Rebellion(絶滅への反逆)」(XR)という環境保護団体が、気候変動に関する大規模な抗議行動を目前に控え、化石燃料産業への支援を止めるよう政府に迫っていました。XRは過激な抗議活動を展開することで知られています。XRには世界の著名人も支持を表明しており、2019年のロンドン・トラファルガー広場での座り込みに参加していたベルギーのエスメラルダ王女が逮捕され、話題になりました。XRやグリーンピースを含む40以上の環境保護団体の連合は、石油、石炭、天然ガスの採掘に対する新たなライセンスや認可の発行を停止し、緊急市民集会を立ち上げ、「英国内の化石燃料時代を終わらせる方法を迅速かつ公平に国民に決定させる」よう政府に呼びかけています。

社会の注目・関心を集めることを目的に、このような過激な抗議活動はエスカレートする一方であり、世界の気候変動訴訟も世界中で急激な増加を見せています。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの報告書によると、1986年から2014年までの約30年間で起こった気候変動に関する訴訟は800件程度でしたが、その後の8年間の訴訟件数は1,200件を超え、2022年5月末には累計2,002件になりました。特に近年は訴訟件数が右肩上がりになっています。このような訴訟には環境NGOが原告団に加わっている、もしくはアドバイスしているケースが少なくありません。

日本では、まだそうした過激なアクションは見られませんが、各セクターで脱炭素を求める声が高まりつつあります。企業592社を含む776団体が参加する気候変動イニシアティブ(JCI)が、G7に向けて2035年までに電力の大半を再生可能エネルギーで供給すべきと呼びかけたことに対し、303団体が賛同表明をしました。

世界的な過激な抗議活動や気候変動訴訟の増加が示すように、気候変動問題への対応が喫緊の課題との認識が一般化しつつあります。2021年1月、国連開発計画(UNDP)とオックスフォード大学が実施した、50ヵ国の120万人を対象とした気候変動に関する世界最大規模の世論調査では、回答者の64%が気候変動をグローバルな緊急事態だと認識していると答えています。

各国政府は、環境保護団体や一般市民、サステナビリティを真剣に捉える企業からの声に耳を傾け、エネルギーの安定供給を担保しつつも、脱炭素社会実現に向けたエネルギー政策や法規制の大胆な見直しを果敢に実行することが求められます。これは、既得権益を保護することではなく、痛みを伴うかもしれませんが抜本的な構造改革を断行することを意味します。そして企業も同様に変革の波に立ち向かう覚悟が求められます。脱炭素社会の構築に向けたビジネスモデルの転換や技術開発を進め、持続可能な価値創造を実現することが、これからの時代を勝ち抜く企業に求められる使命となります。過去の延長線上に未来を描くことができない時代となり、各業界においても企業経営者の先見性と舵取りの手腕が問われることとなります。


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◇◆ 目次
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〔1〕注目CSRニュース - 英広告基準協議会、「カーボン・ニュートラル」
「ネット・ゼロ」の使用に関し新たな広告ガイダンスを公表

〔2〕~サステナビリティ・ESGの実務を短期間で習得~
「サステナビリティ経営のための速習セミナー」
【理解編】【応用編】【ESG評価対応編】 お申し込み受付中 

〔3〕~サステナビリティ情報開示支援~
有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示をご支援します

〔4〕~新興国・開発途上国における事業支援~
社会課題解決型ビジネスの創出をご支援します


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〔1〕注目CSRニュース - 英広告基準協議会、「カーボン・ニュートラル」
「ネット・ゼロ」の使用に関し新たな広告ガイダンスを公表
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このコーナーでは、「CSRコンパス」から注目ニュースをピックアップしてご紹介します。
今回は、少し前になりますが、2月のトレンドウォッチから「英広告基準協議会、「カーボン・ニュートラル」「ネット・ゼロ」の使用に関し新たな広告ガイダンスを公表」をお届けします。

------<CSRコンパス2月のニュースから転載>--------------------------

英国の広告基準協議会(ASA)は、「カーボン・ニュートラル」や「ネット・ゼロ」などの用語の使用をはじめ、環境に配慮した商品やサービスを謳う広告に関する新たなガイダンスを公表した。

同組織は広告における「カーボン・ニュートラル」や「ネット・ゼロ」という表示が普及するにつれ、消費者の誤解を招く可能性があることから、優先的に対応すべき分野として調査を実施した。調査結果からは、これらの用語についての定義が確立されていないことから、定義をシンプル化・標準化するため、政府などの公的機関による規制を求める声も聞かれた。

本ガイダンスでは、「カーボン・ニュートラル」、「ネット・ゼロ」、または類似の主張を無条件に使用せず、必ず根拠を示すこと、将来目標について表示する場合には、その目標が実現に向けた検証可能な戦略に基づくことなどを求めている。また、オフセットに基づく主張を行う場合には、該当するオフセット・スキームの情報を必ず含めることなどを勧告している。

ASAは、本ガイダンスについて、最長6カ月間モニタリングし影響評価を実施すると同時に、広告で主張する内容が客観的にどのように実証されているかを評価するため、情報収集を行う。

------<転載ここまで>------------------------------------------------

今回は、英国の広告基準協議会による「カーボン・ニュートラル」や「ネット・ゼロ」などの表現に関するニュースを取り上げました。

社会全体で環境配慮や気候変動に対する意識が高まりを見せ、企業の情報開示や、商品・サービスでも「カーボン・ニュートラル」、「ネット・ゼロ」などの表現を見かけることが多くなりました。こうした表現が正しく社会の中で広まっていくのは、とても素晴らしいことのように思えます。

しかしながら、その企業が謳う「カーボン・ニュートラル」や「ネット・ゼロ」は、真に正しい意味で使われているでしょうか。企業活動において、環境や気候変動への取り組みの実態がないにもかかわらず、配慮しているようにみせかけることをグリーンウォッシュと言います。消費者に向けたマーケティングでの広告表現をはじめ、最近ではサステナビリティやESGの情報開示の内容についてもグリーンウォッシュを指摘される事例が発生しています。明確な根拠を示さずに環境に良いイメージを与える広告や、環境配慮の取り組みを誇張した報告、また、取り組みの一部のみを捉えて環境配慮を謳いながら、他の側面で環境に悪影響を与えている場合などもグリーンウォッシュとなります。

グリーンウォッシュの問題は、以前から指摘されていましたが、昨今の消費者の環境への関心や意識の高まりにより、企業はさまざまな形で自社の商品やサービス、情報開示において環境配慮の側面を訴求するようになりました。ところが、その訴求が過熱することで、環境配慮を誇張してアピールするケースが散見されるようになったのです。例えば、第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)では、国連の専門家グループが、温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言した企業や自治体などの行動に対し、「グリーンウォッシュ」がないか見極める必要があると提言するなど、グリーンウォッシュへの注目が改めて集まっています。

グリーンウォッシュは企業に大きなリスクとなります。国によっては、環境配慮に関する広告表現の規制が厳しく、グリーンウォッシュであるとして広告が差し止めになる事例もあります。例えば、英国政府は2021年に消費者保護のための「グリーン・クレーム・コード」を制定しています。消費者に誤解を招く表現で生じるリスクを軽減し、市場の公平な競争環境をもたらすことを目的としています。(1)真実かつ正確であること、(2)明瞭であること、(3)重要な情報を省略・隠蔽しないこと、(4)公平で意味のある比較のみを行うこと、(5)製品の全ライフサイクルを考慮すること、(6)立証されていること、の6原則から成り、企業が環境配慮を広告で掲げる場合のガイドラインとなっています。

企業は、消費者や社会に誤解を与える訴求がないように十分な配慮が必要です。実態の伴わない環境配慮やサステナビリティの訴求が企業にとってリスクとなりうることを認識し、正しい理解に基づいた表現やマーケティング活動、企業報告を行っていくことが求められます。

■お問い合わせ
イースクエア CSRコンパス事務局 芝原
E-mail: compass@e-squareinc.com


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〔2〕~サステナビリティ・ESGの実務を短期間で習得~
「サステナビリティ経営のための速習セミナー」
【理解編】【応用編】【ESG評価対応編】 お申し込み受付中 
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イースクエアでは、サステナビリティ・ESGの実務を担われている方のための速習セミナーをオンラインでご提供しています。ここ数年では、サステナビリティ・ESG担当者/責任者以外に、様々な部署(経営企画、IR、調達など)の方々のご受講も増えています。

本セミナーは、2週間の受講期間中、お好きな時間に何度でもご視聴頂けます。

ESG評価対応編1期(5月26日-6月8日)の締切が5月19日(金)となっています。
5月中に受講開始をご希望の方は、お早めにお申し込みください。

本メールでは、以下のセミナーについてお知らせします。
(1)【サステナビリティ全般】 理解編・応用編 オンライン版
(2)【テーマ別】       ESG評価対応編 オンライン版

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(1)【サステナビリティ全般】 理解編・応用編 オンライン版
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サステナビリティ速習セミナー「理解編」「応用編」は、サステナビリティ・CSRの全体像や世界動向、サステナビリティ担当、または関連する部門の役割について理解を深め、明日からの業務にすぐに活かして頂けるプログラムとなっています。

 "新任のサステナビリティ・CSR責任者およびご担当者"

あるいは

 "体系立ててもう一度サステナビリティ・CSRの全体像をとらえ直したい方"

にお勧めです。

これまでにオンラインや会場で340社以上にご受講頂き、「サステナビリティ・CSR担当者にとって必要なことが凝縮して学べる」と高い評価を頂いています。

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(2)【テーマ別】 ESG評価対応編 オンライン版
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「ESG評価対応編」は、CDPスコアリングパートナーであるソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社との共同により、企業のESG情報開示ご担当者向けにご提供している研修プログラムです。

 "新たにESG情報開示対応のご担当になる責任者および実務担当者" 

に加え、

 "これからESG情報開示に注力される企業のご担当者"

にもお勧めです。

「理解編」「応用編」に加えて「ESG評価対応編」を受講頂くことで、サステナビリティ・CSRの全体像を理解したうえで、ESG評価に対応する具体的ノウハウを身につけて頂けます。

なお「理解編」「応用編」を受講されていない方でも、「ESG評価対応編」のみ受講頂くことが可能です。

企業においてサステナビリティ・ESGの取り組みを進めていくために欠かせない内容をご提供させて頂きます。ぜひ多くの方にご参加頂けますと幸いです。

◆セミナー内容の詳細情報
(1)【サステナビリティ全般】 理解編・応用編
https://www.e-squareinc.com/CSRseminar_online2023.pdf

(2)【テーマ別】 ESG評価対応編
https://www.e-squareinc.com/CSRseminar_online_esg2023.pdf

◆参加申し込み
上記セミナーは、以下のリンク先からお申し込み頂けます。
https://reg34.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=nbrj-lfseqf-207b355e3348269ee3db2378e43d9f84

■お問い合わせ
イースクエア セミナー事務局
E-mail: seminar@e-squareinc.com


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〔3〕~サステナビリティ情報開示支援~
有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示をご支援します
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イースクエアは、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示支援を行っています。
サステナビリティ情報の開示要請が年々高まりを見せています。2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて「サステナビリティを巡る課題への取組み」や「企業の中核人材における多様性の確保」といった新たな開示項目が追加されました。また2022年11月に金融庁が内閣府令を公表し、有価証券報告書において「サステナビリティに関する企業の考え方及び取組」の開示が求められることになりました。具体的には、3月期決算の企業の場合、2023年3月期に係る有価証券報告書からこの開示が求められます。

グローバルな視点でみると、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」および「気候関連開示」の確定基準を2023年6月末までに公表する予定で、財務会計基準機構(FASF)傘下のSSBJ(サステナビリティ基準委員会)がこの草案の日本への適用について検討を始めました。

イースクエアは、主に以下のサステナビリティ情報開示フレームワークの支援を行っています。

◆ ISSB草案(S1・S2)を基にしたサステナビリティ情報開示
◆ TCFDの枠組み(移行計画含む)に基づく気候変動に関する情報開示

イースクエアは、最新のサステナビリティ情報開示のフレームワークやスタンダードの情報をCSRコンパスなどで配信しており、国内外の動向にも精通しています。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

■お問い合わせ
イースクエア ESG担当
http://www.e-squareinc.com/contact/


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〔4〕~新興国・開発途上国における事業支援~
社会課題解決型ビジネスの創出をご支援します
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イースクエアは、新興国・開発途上国を対象に、現地の社会課題解決につながるビジネスの立ち上げをご支援しています。現地ネットワークを活用し、現地パートナー・協働先の選定・交渉、人材育成計画の企画・実施などをご支援します。

特に近年経済成長や人口増加が目覚ましいインド、アフリカにおけるご支援に力を入れています。
詳しくは以下のページをご参照ください。

インドビジネス展開支援
https://www.e-squareinc.com/business/india-business.html

アフリカビジネス展開支援
https://www.e-squareinc.com/business/post-12.html

新興国・開発途上国へのビジネス展開を検討されている企業様へのご支援も行っていますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。

■お問い合わせ
イースクエア 海外展開・事業開発担当
http://www.e-squareinc.com/contact/


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【編集後記】 我が家に軽EVがやってきた
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昨年末、我が家に軽の電気自動車(EV)がやってきました。軽EVといっても昨年発売されて大きな話題になったあの新型車ではなく、10年落ちの中古車を購入しました。中古車とはいえ、電池性能はカタログ値の105%を維持しており、静音で加速力もあり、性能的には申し分ありません。1回の充電で走れる距離は平地で100km超。私が住んでいる山間地だとアップダウンの影響で航続距離は70km程度になってしまいますが、近所の買い物や駅までの送迎など日常の移動には十分です。

充電は週に2回程度、自宅の電源から5、6時間で済み、その電力は自宅の屋根に設置した太陽光パネルでほぼ賄えます。太陽光パネルで発電した電力は固定価格買取制度(FIT)の対象ですので、できるだけ使わずに売電し、夜間にEVを充電した方が家計的にはプラスなのですが、なるべく晴れた日の昼間にEVを充電するようにしています。CO2フリーで運転できる喜びは、少々の売電収入減を補って余りあります。(担当:柳田)


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当社では、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、お取引先企業の皆さまや当社従業員およびその家族の安全を確保するため、2020年3月より原則在宅勤務の体制に切り替えさせて頂いております。お問い合わせは当社Webサイトのフォームよりご連絡ください。
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