こんにちは。イースクエア代表の本木啓生です。

今朝の日経新聞は脱炭素一色でした。バイデン大統領の呼びかけによる気候サミットが日本時間で今夜9時から開催されます。気候変動イニシアティブ(JCI)は、日本政府に対して2030年の温室効果ガス排出量の削減目標を45~50%に引き上げるべきとの提言を掲載していますが、2050年ネットゼロに向けて今まさに世界の潮目が変わろうとしています。

ところで、今年は久々に大河ドラマにはまっています。渋沢栄一氏の生涯を描いた「青天を衝け」の主人公は躍動感にあふれ、先の見えない混沌とした時代においても自らの力で道を切り開いていくことができるDNAが我々日本人の中にはあるのだと勇気を与えてくれます。「論語と算盤」つまり道徳と経済という一見相矛盾する2つの概念を合致させて、社会インフラの基盤となる500の企業を起業した偉業には尊敬の念を禁じ得ません。

渋沢栄一氏と同じ時代を生き抜いたライバル、岩崎彌太郎氏の次女磯路を母として生まれたのがイースクエアの共同創業者、木内孝氏の父 木内信胤氏です。晩年、財団法人世界経済調査会理事長を務めた信胤氏は、戦後は、大蔵省の後、日本国有鉄道理事、外務省参与、国語審議会委員、臨時行政調査会第一専門部会長などを歴任しました。政治・経済・文化・社会・宗教・農業など広範な分野に亘る経済評論家として活躍し、吉田茂、池田勇人、佐藤栄作など歴代首相の経済指南役とも言われた人物です。

信胤氏が1983年2月16日に記した「五つの災とそれからの脱出(今世紀中の人類的課題)」と題した一枚の紙を木内孝氏のご家族が最近偶然発見しました。「飢餓」「環境汚染」「経済恐慌」「戦争」「地球の荒廃」という5つの災とその原因、脱出への対応策、具体的行動提言が一覧になって記されているのです。

今世紀中の人類的課題として環境汚染に関して挙げられているのは、「酸性雨による森林破壊、非循環物質による海域・海底汚染、石油アップストリーム排出油による海洋汚染」などです。その原因は、「排出ガス、石油燃料自動車の過剰、石油の過大使用消費と石炭火力発電の再浮上、自然に還元しない人造物資の浪費」だとしています。そして、脱出への対応策として挙げているのは、「自然的有機農業への回帰、工業排棄物処理の徹底化、脱石油・脱石炭のため水素エネルギーの大規模活用、人造物質の自然還元性付与技術の開発と実施」していて、約40年後の今見ても、非常に的を射た指摘だということに驚かされます。

地球環境のことであれ、政治や経済の世界であれ、顕在化する現象は氷山の一角にすぎません。信胤氏は、専門領域の垣根を取り払い総合的見地で考え、物事の本質をとことんまで見極めようと努力を続けてきたからこそ、たどり着いた洞察があるのだと感じます。

今、人類が直面する気候危機を始めとしてサステナビリティを実現できるか否かという大きな壁が、我々の前に立ちはだかっています。渋沢栄一氏や岩崎彌太郎氏が活躍した幕末や明治維新の日本と同様、世界全体が次の時代にシフトしなければならない状況に追い込まれています。DX(デジタル・トランスフォーメーション)とSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)により、産業構造およびビジネスモデルのあり方からライフスタイルまで抜本的に世の中が変わろうとしていますし、変えていく必要があります。信胤氏の課題意識と好奇心と行動力は、息子である孝氏にそのまま引き継がれ、我々イースクエアのスタッフは仕事を通してその薫陶を受けてきました。イースクエアは持続可能な社会づくりの原動力であり続けたいと思っています。


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◇◆ 目次
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〔1〕注目CSRニュース-
ドイツ、人権デュー・ディリジェンスを義務化する法案、
夏までに成立する見通し

〔2〕新任サステナビリティ・CSR推進の責任者・実務担当者向け
   「サステナビリティ経営のための速習セミナー」
   【理解編】【応用編】【ESG評価対応編】を4、5月に開講

〔3〕 コーポレートガバナンスコード改訂とESG情報開示の重要性


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〔1〕注目CSRニュース-ドイツ、人権デュー・ディリジェンスを
義務化する法案、夏までに成立する見通し
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このコーナーでは、「CSRコンパス」から注目ニュースをピックアップしてご紹介します。

今回取り上げるニュースは、「ドイツ、人権デュー・ディリジェンスを義務化する法案、夏までに成立する見通し」です。

------<CSRコンパス3月のニュースから転載>--------------------------
ドイツ連邦内閣は、企業への人権デュー・ディリジェンスの義務付けに関する公式政府草案に合意した。

今後、法案が議会(連邦議会と連邦参議院)で審議され、夏までに成立する予定である。人権デュー・ディリジェンスの義務化は、ドイツ政府が2019年12月にその意向を発表して以来、実現が期待されてきた。

2020年7月の調査では、ドイツ企業のうち、ビジネスと人権に関するドイツ国家行動計画(NAP)の要求事項を満たすようなデュー・ディリジェンスの取り組みを実施しているところは22%に過ぎず、これを受けて政府が法制化に乗り出した。

関係省である労働省、開発省、経済省の間で、法的責任の問題などについて長らく合意がまとまらなかったが、今年2月に妥協が成立し、今回の政府草案に結実した。

市民社会、企業、行政、学術団体はこの動きを歓迎しているが、法案に残る弱点を議会での審議で是正するよう求めている。特に市民社会組織は、民事責任の欠如を批判しており、また、国連指導原則との整合性を確保し、EU全体での法律制定につなげていくよう引き続き要請している。
------<転載ここまで>------------------------------------------------

今回はドイツの人権デュー・ディリジェンスの義務化についてのニュースを取り上げました。これによれば、ドイツでは人権デュー・ディリジェンスを実施している企業は22%に留まっており、今後、企業に義務化していく方向であるということです。人権課題に対する企業の取り組みはグローバル社会で確実に関心が高まっており、日本でも対応を検討している企業は増えてきています。

人権にまつわる問題は、もはや企業にとって避けられない課題となっています。現在、企業と人権の考え方のベースとなっている「ビジネスと人権に関するフレームワーク(ラギー・フレームワーク)」では、企業は人権を「尊重」する責任を負い、「救済」へのアクセスを設けることが求められています。

近年、児童労働や強制労働など、企業による事業活動によって生じうる負の影響は、人権団体やNGO/NPOなどによって問題提起され、広く知られるようになりました。さらに現在、世界の様々な地域で発生している深刻な人権問題について、その地域にビジネス上の関連がある企業が、その関与や責任を追及される時代となってきました。それらの情報はソーシャルメディアなどを通じて、瞬く間に世界中に広まり、企業の人権に対する向き合い方を露呈させるものとなっています。人権はもはや企業に直結する課題なのです。

人権デュー・ディリジェンスは、「企業活動およびその取引関係を通じた、人権への負の影響を特定し、防止し、軽減し、対処するための手段」のことで、企業にとってのリスク管理の一環です。自らのリスクを認識し、対処するための手段を積極的に公開していくことは、社会からの信頼につながります。人権デュー・ディリジェンスを完璧に仕上げていくのは壮大なプロジェクトに感じられるかもしれません。しかしながら、完璧になってから公開するのではなく、できるところから少しずつでも取り組みに着手し、その経過を報告していくだけでも、自社の取り組み姿勢や方向性を示すことができますし、ステークホルダーからの信頼の獲得につながるでしょう。まずは、第一歩を踏み出してみませんか。

参考:CSR実務ガイド「人権デュー・ディリジェンスを実践する」
   https://www.csr-compass.jp/member/about/practice.php


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〔2〕新任サステナビリティ・CSR推進の責任者・実務担当者向け
   「サステナビリティ経営のための速習セミナー」
   【理解編】【応用編】【ESG評価対応編】を4、5月に開講
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イースクエアでは毎年、異動が多い時期に合わせてサステナビリティ・CSR担当/責任者のための速習セミナーを企画しています。

毎回ご好評をいただいている速習セミナーを今年も「オンライン」でご提供します。
2週間の受講期間中、お好きな時間に何度でもご視聴いただけます。

本メールでは、2021年度版が開講予定である以下のセミナーについてお知らせいたします。

【サステナビリティ全般】 理解編・応用編  ※4/23開講予定
【テーマ別】       ESG評価対応編  ※5/26開講予定


(1)【サステナビリティ全般】 理解編・応用編

「理解編」「応用編」は、サステナビリティ・CSRの全体像や世界動向、サステナビリティ・CSR部門の役割について理解を深め、明日からの業務にすぐに活かしていただけるプログラムとなっています。

 "新任のサステナビリティ・CSR責任者およびご担当者"

あるいは

 "体系立ててもう一度サステナビリティ・CSRの全体像をとらえ直したい方"

にお勧めです。

これまでに会場での開催を含め230社以上にご受講いただき、「サステナビリティ・CSR担当者にとって必要なことが1日で凝縮して学べる」と高い評価をいただいています。


(2)【テーマ別】 ESG評価対応編

「ESG評価対応編」は、CDPスコアリングパートナーであるソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社との共同により、企業のESG情報開示ご担当者向けにご提供する研修プログラムです。

 "新たにESG情報開示対応のご担当になる責任者および実務担当者" 

に加え、

 "これからESG情報開示に注力される企業のご担当者" にお勧めです。

「理解編」「応用編」に加えて「ESG評価対応編」を受講いただくことで、サステナビリティ・CSRの全体像を理解したうえで、ESG評価に対応する具体的ノウハウを身に付けていただけます。

なお「理解編」「応用編」を受講されていない方でも、「ESG評価対応編」のみ受講頂くことが可能です。

これからの企業のサステナビリティ・CSRを創っていくために欠かせない内容をご提供させて頂きます。ぜひ多くの方にご参加を頂けるとありがたいです。

◆セミナー内容の詳細情報
(1)【サステナビリティ全般】 理解編・応用編
https://e-squareinc.com/CSRseminar_online2021.pdf

(2)【テーマ別】 ESG評価対応編
https://e-squareinc.com/CSRseminar_online_esg2021.pdf

◆参加申し込み
上記セミナーは、以下のリンク先からお申し込み頂けます。
https://bit.ly/3tepZGs

◆お問い合わせ
(株)イースクエア セミナー事務局
http://www.e-squareinc.com/contact/

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〔3〕 コーポレートガバナンスコード改訂とESG情報開示の重要性
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4月6日にコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)の改訂案が公表されました。
東京証券取引所(東証)によるパブリックコメント募集を経て、早ければ今年上半期中にも運用が開始されます。
来年4月に予定されている東証の新市場区分移行と相まって、現行の一部上場企業を中心に改訂版CGコードへの対応が急務となります。

今回の改訂における特色として、サステナビリティやESGに関する企業の取り組み強化を求める内容が多く含まれている点が挙げられます。具体的には以下となります。

・気候変動、人権、労働安全衛生、サプライヤーとの関係、リスクマネジメントなど主要なサステナビリティ課題を挙げたうえで、取締役会に対してサステナビリティ課題を重要な経営課題として認識すべきと指摘
・女性の登用を含むダイバーシティについて、その考え方や具体的な人材育成・社内環境整備を含む方針を示すとともに、測定可能な目標とその状況の開示を求める
・取締役会が、サステナビリティの取組方針を策定し、また、実効的に監督すべきであると明記し、サステナビリティ課題に関する企業のガバナンスを強調
・取締役会に対して、内部統制・リスク管理体制の適切な構築と、運用状況の監督を求める

この他にも英語での情報開示の強化を求めるなど、海外機関投資家を意識した内容も含まれています。

このように、今回の改訂版CGコードは、企業にサステナビリティ課題への対応を「重要な経営課題」として認識し、いくつかの具体的な課題も挙げた上で、それらを含む包括的な取り組みを求めています。

投資家を始めとするステークホルダーに自社の取組状況を確実に伝達し、理解を深めてもらうという点からも、企業がESG情報開示を全社視点に立って展開・強化することが極めて重要です。ESG情報開示が十分に進んでいない企業にとっては、CGコード対応という点でもIRの観点からも早急な取り組みが求められています。

イースクエアでは、企業のESG情報開示に関するアドバイスや評価向上に向けたコンサルティングを提供しています。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

◆お問い合わせ
イースクエア ESG担当
http://www.e-squareinc.com/contact/

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【編集後記】
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新型コロナウイルスの「第4波」が日本列島を襲っています。変異ウイルスの猛威を前に水際対策が強化されたようですが、既に国内に広まった変異ウイルスは簡単にはなくならないでしょうし、新たな変異ウイルスが国内から生まれることもあり得るでしょう。

イースクエアでは昨年から引き続き在宅勤務が基本になっています。自宅にいながらネットを使って国内外のパートナーとコミュニケーションしながら仕事を進めるというのも最近ではだいぶ慣れてきました。

出張ほぼなし、在宅勤務が主の暮らしを続けて気づいたのは周辺環境の季節の移ろいです。まだ冬の寒いうちからフキノトウが土から姿を出し、桃が咲いたと思えば次は桜が咲き、木々が芽吹き、虫や小鳥の活動も活発になってきます。当たり前ですが、1日として同じ日はなく、日々自然は移り変わっていき、飽きることがありません。

コロナ禍が終息し、気軽に人と対面し、行ったことのない土地や国を訪問できる日を心待ちにしつつ、しばらくは目の前の四季をじっくり楽しもうと思います。(担当:柳田)

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当社では、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、お取引先企業の皆さまや当社従業員およびその家族の安全を確保するため、2020年3月より原則在宅勤務の体制に切り替えさせて頂いております。お問い合わせは当社Webサイトのフォームよりご連絡をお願いします。
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