こんにちは。イースクエア代表の本木啓生です。

昨年のある平日、一人の少女が学校をボイコットし、スウェーデンの国会議事
堂の前で座り込みをはじめました。彼女の名前は、グレタ・トゥーンベリさん。
当時15歳だった彼女は、総選挙まで2週間を毎日、ストックホルム中心部の国会
議事堂外の石畳に一人座り込み、温暖化に対するこれまでのスウェーデン政府
の対応について「あなたがた大人が私の将来を奪っているので、私はこのよう
な行動を取っているのだ」と訴えかけました。

グレタさんの活動に賛同する子どもたちが、瞬く間にヨーロッパから世界に広
がり、数万人の子どもたちが温暖化対策を訴えて、学校をボイコットする運動
が始まりました。自分たちの将来が大人たちの手で奪われようとしているのに、
学校で静かに勉強をしている場合なのかと。

そして今年3月15日、"FridaysForFuture"という気候変動の危機を訴える子
どもや若者によるデモが、ワシントンDC、モスクワ、ベイルート、上海など
119か国の1,971か所という空前の規模で実施されました。日本ではほとんど報
道されませんでしたが、渋谷の国連大学前と京都市役所前の2か所でデモ行進
が行われたそうです。

彼女は、昨年12月のCOP24のステージで、以下のようなメッセージを堂々と発
し、痛烈に大人たちを批判しました。

「2078年、私は75歳の誕生日を迎えます。もし子供がいれば、その日、彼らは
皆さんのことを私に尋ねるでしょう。手を尽くす時間が残っているうちになぜ
何もしなかったのかと。あなた方は、自分の子どもたちを何よりも愛している
と言いながら、その目の前で、子どもたちの未来を奪っています」

昨年10月、IPCCにより1.5℃特別報告書が発表されました。5年に1度の割合で
熱波に苦しむ世界人口が、1.5℃の気温上昇のときより2℃の気温上昇のときの
ほうが2.6倍高まり、世界人口の37%、すなわち実に30億人を超える人々が大
きなリスクに晒されることになるとの予測です。世界の共通認識は今、2℃目
標ではなく、1.5℃目標に切り替わりました。一方、気温上昇を1.5℃に抑える
ためには、2030年までにCO2排出量を2010年比で約45%削減、2050年までに正
味ゼロにするという厳しい現実が待ち構えています。

世界を動かす主体として、非国家アクターの役割に期待が高まっています。
温暖化で最も被害を受ける可能性のある将来世代の子どもたちが長い目で見れ
ば、その最も中心的な存在であることをグレタさんは気づかせてくれました。

未来を危惧する子どもたちのアクションが大きなうねりとなって世界に揺さ
ぶりをかけ、大人たちに決断を迫っています。愛する子どもたちのために行動
を起こす気概があるのかということを我々大人たちは問われています。

COP24でのグレタさんのスピーチはYouTubeで見ることができます(日本語字幕
付き)。
https://www.youtube.com/watch?v=h-ICELS3NPg

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◇◆ 目次
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〔1〕注目CSRニュース -
   ILO「世界の雇用及び社会の見通し 2019年版」、
労働市場の課題は劣悪な労働条件

〔2〕新任CSR担当者・責任者向け「CSR経営のための速習セミナー」
     基礎講座に加えてESG編を新規開講

〔3〕イースクエアとソコテック・サーティフィケーション・ジャパンが
   業務提携、企業のESG情報開示に関し包括的支援を提供

〔4〕セミナー開催報告
    「企業価値を創出するESG投資の最前線」

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〔1〕注目CSRニュース -
   ILO「世界の雇用及び社会の見通し 2019年版」、
労働市場の課題は劣悪な労働条件
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このコーナーでは、「CSRコンパス」から注目ニュースをピックアップしてご
紹介します。

今回取り上げるニュースは、「ILO『世界の雇用及び社会の見通し2019年版』、
労働市場の課題は劣悪な労働条件」です。

------<CSRコンパス2月のニュースから転載>--------------------------
国際労働機関(ILO)は、世界全体及び地域別の労働と雇用、生産性、非正規
雇用等における動向の分析を行う年次刊行物「世界の雇用及び社会の見通し―
動向編2019年版(World Employment and Social Outlook:Trends 2019)」
を公表した。

報告書では、世界全体の労働市場における問題点は「雇用の質の低さ(劣悪な
労働条件)」にあると指摘。更に、近年改善はみられるものの、多くの国々で
「失業」と「労働力活用の不完全性」が課題として残っている、と指摘してい
る。

また、持続可能な開発目標(SDGs)「目標8:働き甲斐と経済成長」達成まで
の歩みは予想していたよりも遅いとして、その進捗状況について触れつつ、ア
フリカ、北米、中南米・カリブ、アラブ諸国、アジア太平洋および欧州・中央
アジアの各地域の状況についても詳細な分析を展開している。

2018年に世界全体で雇用されている33億人の労働者の大半が、経済的保障、物
理的な充足感、機会均等の面で不十分あるいは不適当な状況下に置かれている
と報告されている。また、全ての人がディーセント・ワークを保つという「SD
Gs目標8」で目指している目標の達成は、このままの進捗度合では多くの国に
とって難しいと言及している。

他方、新しいビジネスモデルの台頭が雇用の機会を奪いかねない状況を踏まえ、
政府の関与の必要性を示唆した。また、世界でおよそ7億人の人々が、就労し
ているにもかかわらず貧困層にとどまっており、就労が十分な生活(水準)に
直結していない現実にも触れている。更に、雇用におけるジェンダーギャップ、
非正規労働や25歳以下の若年層の状況(非就労・非就業)についても課題とし
て報告を行っている。

日本に特化した報告としては、図表による失業率と失業者数の改善についての
みに留まっている。
------<転載ここまで>------------------------------------------------

今回は国際労働機関(ILO)が発表した2019年度の世界の労働市場に関する課
題についてのレポートを取り上げました。レポートでは、労働分野における最
大の課題は、「労働の質の低さ(劣悪な労働条件)」と指摘しています。そし
て、世界の約33億人の労働者の多くが不当な状況下に置かれており、約7億人
は就労しているにもかかわらず貧困状態にあると報告されています。

1999年に国際労働機関(ILO)は、ディーセント・ワークという考え方を提唱
しました。すべての人が適正な賃金、安全な労働環境が保障され、働きがいの
ある人間らしい仕事、が保障されるべきである、というものです。2019年はそ
れから20年の節目になりますが、まだまだ世界ではすべての人々にディーセン
ト・ワークがいきわたる状況にはほど遠いことが浮き彫りになりました。

そして、労働の問題に関しては、日本国内でも問題意識は高まっています。
雇用における正規・非正規での格差の問題、いわゆるブラック企業といわれる
劣悪な労働条件の問題などがあります。さらに、外国人技能実習生などの仕組
みの中で労働搾取が発生しているのではないか、という報道が流れるなど、様
々な側面から注目が集まっています。また、現政権の下では、外国人労働者の
受け入れ拡大にむけた動きが加速しています。

労働にまつわる問題は、企業に直結する課題です。差別のない職場、公正な人
事システムなどはもとより、国内外の事業所での従業員のワークライフ・バラ
ンス、多様性や様々な働き方、高齢者や外国人など今後増えていくと予測され
る新たな人々への対応など、企業は、次々と新たに対処しなければならない課
題に直面します。

持続可能な開発目標(SDGs)の目標8では、「働き甲斐と経済成長」が掲げら
れており、これは、ほぼすべての企業に関連する目標と言えます。働き甲斐と
いうと、人それぞれに異なるかもしれません。多くの人にとって、「働くこと」
は生計を立てる手段でしょう。さらに、働くことは、自分の能力を活かし、夢
や目標を実現し、より豊かな人生を送るための要素でもあります。

自社の一番のステークホルダーとも言える従業員や労働者が、ディーセント・
ワークを享受できているかどうか、いま一度、見直してみるとよいかもしれま
せん。

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〔2〕新任CSR担当者・責任者向け「CSR経営のための速習セミナー」
     基礎講座に加えてESG編を新規開講
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イースクエアでは毎年、異動が多い時期に合わせてCSR担当者・責任者のための
速習セミナーを企画しています。

毎回ご好評頂いているこの速習セミナーを今年も4、5月に実施します。
本メールでは、以下のセミナーについてお知らせします。

 (1)【基礎講座】  理解編・実践編
(2)【オンライン動画】 理解編 
(3)【テーマ別講座】  ESG評価対応編

(1)【基礎講座】  理解編・実践編

基礎講座「理解編」「実践編」は、CSRの全体像や世界動向、CSR部門の役割に
ついて理解を深め、明日からの業務にすぐに活かして頂けるプログラムとなっ
ています。

 "新任のCSR責任者およびご担当者"、あるいは

 "体系立ててもう一度CSRの全体像をとらえ直したい方"

にお勧めです。

これまでに170社以上にご受講頂き、「CSR担当者にとって必要なことが1日で
凝縮して学べる」と高い評価を頂いています。

(2)【オンライン動画】 理解編 

昨年4月から(1)の基礎講座の理解編と同様の内容をインターネット上の動画
配信システムを利用して受講頂けるようになりました。会場開催の口座日程で
はご都合の合わない方や遠方の方でもご参加頂けます。

※2019年版は、2019年4月23日(火)以降にご受講頂けます。

(3) 【テーマ別講座】  ESG評価対応編

今年からテーマ別講座「ESG評価対応編」を新たに開講します。
CDPスコアリングパートナーであるソコテック・サーティフィケーション・ジ
ャパン株式会社との協働により、企業のESG情報開示ご担当者向けにご提供す
る研修プログラムです。

 "新たにESG情報開示対応のご担当になる責任者および実務担当者"に加え、

 "これからESG情報開示に注力される企業のご担当者"

にお勧めです。

CSR基礎講座である「理解編」「実践編」に加えてテーマ別講座「ESG評価対応
編」を受講頂くことで、CSRの全体像を理解したうえで、ESG評価に対応する具
体的ノウハウを身につけて頂けます。

なお「理解編」「実践編」を受講されていない方でも、「ESG評価対応編」のみ
受講頂くことが可能です。

ぜひ多くの方にご参加頂けると幸いです。

◆講座内容の詳細情報

【基礎講座】     理解編・実践編
https://e-squareinc.com/docs/CSRseminar201904.pdf

【オンライン動画】 理解編 ※2019年版は2019年4月23日(火)に開講予定
https://e-squareinc.com/docs/CSRseminar_online2019.pdf

【テーマ別講座】   ESG評価対応編
https://e-squareinc.com/docs/CSRseminarESG201904.pdf

◆参加申し込み

以下のリンク先からお申し込み頂けます。

【基礎講座】     理解編・実践編
【テーマ別講座】   ESG評価対応編
https://bit.ly/2IJfEj4

【オンライン動画】 理解編 ※2019年版は2019年4月23日(火)に開講予定
https://bit.ly/2EPmYFP

■お問い合わせ

(株)イースクエア「CSR速習セミナー」係
E-mail csr-seminar@e-squareinc.com
TEL 03-5777-6730

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〔3〕イースクエアとソコテック・サーティフィケーション・ジャパンが
   業務提携、企業のESG情報開示に関し包括的支援を提供
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イースクエアは、ISOマネジメントシステムの認証とGHG排出量検証、サステナ
ビリティ情報の評価、技術支援で躍進するソコテック・サーティフィケーショ
ン・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、執行役員社長:二場誠吾)と、
企業のESG情報開示に関する包括的な支援を提供することを目的に、2月7日に
戦略的業務提携を行いました。

イースクエアでは、過去4年以上にわたって主要ESG評価であるFTSE、MSCI、
Sustainalyticsなどの評価データベースを活用したコンサルティングを提供。
またソコテックでは、世界の機関投資家に活用されているCDPのスコアリング
パートナーとして知見を蓄積してきました。

両社が業務提携することにより、これらの主要ESG情報開示要請に包括的に対
応していくサービスを企業に提供していきます。国内外のESG評価データに基
づくワンストップ対応が可能となります。

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〔4〕セミナー開催報告
    「企業価値を創出するESG投資の最前線」
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3月14日に「企業価値を創出するESG投資の最前線」と題する特別セミナーをフ
ランス大使館にて開催しました。

CDPスコアリングパートナーであるソコテック・サーティフィケーション・ジ
ャパン株式会社とイースクエアの共同開催のもと、ESG投資の最前線で活躍す
る以下3名の登壇者よりプレゼンテーション頂き、後半は質問をもとにパネル
ディスカッションを行いました。

Loic Dujardin氏
Sustainalytics 日本 マネージング・ディレクター
「新評価手法Rating 3.0 ―The ESG Risk Ratingを開発した意図と概要」

ESG投資が世界的に普及拡大する中、ESG評価機関大手のサステナリティクス社
では、顧客である投資家の需要をくみ取り、今回、評価手法を大きく改定しま
した。
その背景にある世界のESG投資の動き、投資家のニーズ、それらに応える新し
い評価手法の構造を詳しく解説頂きました。

近江 静子氏
アムンディ・ジャパン株式会社 ESGリサーチ部長
「Ambition 2021の概要と投資の現場におけるESG情報の活用事例」

アムンディは運用資産残高1.47兆ユーロを有する欧州No.1の資産運用会社です。
この度「Ambition 2021」と題して2021年を目標に「ESG方針を可能な限りすべ
ての運用戦略に統合、議決権行使にも反映」する方針を打ち出しました。
アムンディの責任投資のアプローチについて、具体的に解説頂きました。

荒井 勝氏
JSIF(日本サステナブル投資フォーラム)会長
「231兆円に達した日本のサステナブル投資 -理念から実践へ」

これまでの責任投資・ESG投資の変遷について改めて整理して頂くとともに、
なぜ企業にとっていまESG情報開示が必要なのかの本質に迫る解説をして頂き
ました。また、エンゲージメント代行企業であるハーミーズEOSのアドバイザ
ーとしての立場から、企業とのエンゲージメントの実際について、FTSE4Good
委員会メンバー・基準委員会メンバーの立場から、ESG指数の役割についてな
ど多角的な視点からお話し頂きました。

参加者の皆様からは、

・ESG評価機関とESG投資家の双方の視点からの具体的な話が聞けたのがとても
 有意義だった。

・サステナリティクス社の新評価手法について考え方や具体的手法が聞けたの
 は良かった。

など大変好評を頂いたセミナーとなりました。

イースクエアでは今後も引き続き、ESG投資に対する理解を深めるための企業様
向け情報提供に力を入れていきます。

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 【編集後記】
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企業の海外展開・事業開発を支援している当社内のチームがFacebookページを
開設しました。海外展開に役立つ情報や、アフリカ、アジア、南米などで実施
中のプロジェクトの最新情報を発信していきますので、ぜひご覧になってみて
ください。私も今後海外出張先などから現地の様子をアップしていこうと思っ
ていますのでご期待ください。(柳田)

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