WMO、2018年初夏の世界各地の異常気象を報告、気候変動の影響指摘
2018年8月 1日
国連の関連機関である世界気象機関(WMO)は、2018年7月に北半球の各地域が見舞われた記録的な高温、熱波、干ばつと豪雨について報告した。それらは、健康被害や、農業、エコシステム、そしてインフラへの影響をもたらし、甚大な山火事も発生させた。WMOは、6月から7月にかけて世界各地で発生した極限的な気候は、気候変動の長期的傾向に一致する、としている。
WMOの副事務総長であるManaenkova氏は、いま我々が直面している熱波や高い気温は温室効果ガス排出由来の気候変動に起因すると述べ、これら現象は未来のシナリオではなくいま起こっていることだと強調した。
各地の主な状況は下記のとおり。- 北ヨーロッパでは平均気温をはるかに超え、8月初旬にはスペインとポルトガルで最高気温に達するような熱波を記録。熱波はスカンジナビア地域にまで達し、フィンランドでは7月の最高気温を更新した。湖水の気温が上昇し、藻の異常発生によりバルト海の水質汚染が発生。原子力発電所の冷却システムにも支障が生じているという。スウェーデンでも史上最大規模の山火事が発生。北極圏では気温が30度を超えた。少ない降雨量と平均気温を超える暑さで、穀物を中心に農作物にも影響が出ているという。
- 日本では、東日本で7月の最高気温を記録、西日本でも史上二番目の気温を観測した。日本では6月末から7月初旬にかけて記録的な豪雨と地滑りで200人以上が犠牲となり、10,000戸ほどが全壊や水没の被害に見舞われた。
- 北アフリカや中東でも記録的な高温が発生している。アルジェリアのサハラ砂漠で7月に51.3℃、オマーンの首都マスカット付近では1日の最低気温が42.6℃を記録。
- 北アメリカ大陸では、米国カリフォルニア州のデスバレー国立公園では7月8日に52.0℃を記録。カナダのケベック州では暑さと湿気で死者も発生した一方で、同国の東側の地域では冬のような気温を記録し降雪も見られたという。