2022年6月 1日

2022年6月2-3日の国際環境会議、ストックホルム+50の開催に先立ち、世界経済フォーラム(WEF)の、ネットゼロ移行に関するグローバル・フューチャー・カウンシルは、低炭素な未来の構築において産業界がいかに最前線に立つことができるかを分析し、以下の2つの白書を発表した。

1つ目は、「野心から行動へ:信頼できる企業の気候リーダーシップとネットゼロの要請(仮訳)(From Aspiration to Action: Credible Corporate Climate Leadership and the Net-Zero Imperative)」と題した企業の説明責任に関する白書である。気候に関するコミットメントを行う企業が拡大していることを認識しているが、1.5度目標達成のためには企業努力がまだ不十分であるとして以下を指摘している。

・気候変動の緩和に「大きな影響」を与える可能性のある企業の3分の2は科学的根拠に基づく目標設定にコミットしていない。
・目標設定をしている企業のうちの4分の1以上が目標達成に向けた進捗状況を公表していない。
・フォーチュン500社のうち、気候変動に関する目標において、カーボンフットプリントの大部分を占める「バリューチェーンからの間接排出」をカバーしている企業は5分の1未満にすぎない。

野心的な目標には野心的な行動が必須であるとし、低炭素移行するための投資と戦略へ早急に着手する必要があると呼びかけている。カーボンフットプリントを削減し、エネルギー転換を進めるために、すべての企業が今日からできる実施ステップを紹介している。

2つ目は、「ネットゼロ産業への移行に必要なコレオグラフィ(振付)(仮訳)(The Choreography Needed for Net-Zero Industry Transition)」と題した白書で、気候変動対策の誓約と実行のギャップに関して取り上げ、ネットゼロ目標達成に向けて求められる速度と規模にするには何をすればよいかを検証している。

・エネルギー生産、消費、重工業セクターにおける2030年までのギャップをより詳細に理解し、課題の規模を明確にする。
・ギャップを埋めるための障壁となっているものを特定し、それを打開するのに必要な行動をとる。
・企業、国、金融が、ネットゼロ経済の構築に向けより迅速で効果的な進歩を遂げることを可能にする、革新的なモデルやメカニズムを強調する。

本白書では、各セクターにおいて、必要とされる規模のプロジェクトを軌道にのせるため、実現の容易なものにターゲットを絞って優先順位をつけるような、デリバリー・プラットフォームの必要性を強調している。