2020年10月28日

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、企業とビジネスパートナーにとって人権尊重をビジネスにおいて不可欠な要素とするために、企業の最高経営責任者がとるべき行動のビジネスドライバーと、具体的な手順を説明した「人権へのCEOガイド(仮訳)(CEO Guide to Human Rights)」の第2版を発表した。

人権が企業や取引関係の全体を通じて真剣に扱われるようにするには、CEOのリーダーシップがきわめて重要な役割を果たす。このガイドは単なるコンプライアンス以上の取り組みが求められる理由として、規制、公的利益、取引関係、投資家の期待の4つについて説明する。そして経営者に求められる行動として、自社にとって最重要の人権問題を理解すること、トップがリーダーシップを発揮すること、ステークホルダーとの透明性あるエンゲージメントの実施、慣例や前例といった安全圏(コンフォートゾーン)から踏み出して協働すること、を挙げている。

WBCSDのプレジデント兼CEOのピーター・バッカ―は、「新型コロナウイルスが各国社会にある根深い格差を浮き彫りにした。現在のパンデミック、そして今後のさまざまな衝撃への回復力を高めていくうえで、ビジネスにおける人権問題に取り組むことは大いに役立つ」と述べている。

2019年6月の初版では「行動呼びかけ(Call to Action)」に世界34社のトップが署名したが、今回はさらに22社が加わった。日本企業は、富士通、日立製作所、野村総合研究所、損保ジャパンの4社がこれに含まれる。また国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)の専門研究機関シフト(Shift)代表キャロライン・リーズも本第2版に序言を寄せている。