2024年5月16日

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、「エネルギー気候シナリオカタログ」バージョン3.0を公開した。このカタログは、企業が戦略的な気候関連レジリエンス評価を行い、移行経路を探るためのもので、気温とエネルギーシステムの依存関係と不確実性を概説している。最新版のバージョン3.0には、投資、需要、排出量、キャパシティ、コスト、価格といった変数を伴った、18のシナリオが収録されている。

カタログと共に、「気候シナリオ分析リファレンスアプローチ」報告書も発表された。この報告書は、エネルギーフォーラムのシナリオ分析の取り組みについての原則、プロセス、考察などが示されている。企業が気候シナリオ分析を活用する方法や、カタログを用いた選択の原則、利用例があるほか、公的気候シナリオを1.5℃、2℃、現行政策/BAUの3つのシナリオを割り当てる方法も説明されている。

また、WBCSDは、BASF、BHP、BP、CLP、CRH、EDF、Enel、Engie、Equinor、Holcim、Iberdrola、Skanskaを含むエネルギーフォーラムを招集し、ビジネスに関連する気候シナリオ分析のアプローチ開発に着手している。この取り組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告および国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、米国証券取引委員会(SEC)の指針に応じて実施されたものである。

この取り組みは、企業がISSB、ESRS、SECの勧告に従って戦略的レジリエンスを評価し、気候関連のさまざまなシナリオを考慮することを支援している。今回更新されたリソースは、気候変動におけるWBCSDの戦略的優先事項と、ESGパフォーマンスに関する会員企業支援の方向に沿うものである。