2024年8月 7日

企業のSDGs達成を支援する国際NGOのワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA: World Benchmarking Alliance)は、自然に対する影響軽減、生態系保護・再生のための企業による取り組みを測定・ランキングするネイチャー・ベンチマーク(自然ベンチマーク)の最新版を発表した。20を超える産業分野の企業816社について、2022-2024年の取り組みを企業データや実績に基づき評価している。

同報告書は、生物多様性の喪失を阻止し再生を促す取り組みを進めている企業もあるものの、過半数の企業は、事業活動が自然に与える影響や自然への依存性を十分理解していないとしている。主なポイントは以下の通り。

  • 自然に対する影響の評価を実施した企業はわずか5%、また自然に対する依存性評価を行った企業は1%未満。
  • 先住民や地域コミュニティの権利である「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」取得について、権利尊重を宣言している企業は13%にとどまった。
  • 29%が水使用に関する情報開示を実施しており、ウォータースチュワードシップの重要性に関する意識は高まりつつあるが、さらなる加速が必要。
  • 43%がプラスチック削減の取り組みを実施しているが、裏付けデータを提示している企業は19%、期限付き目標を定めている企業は7%にとどまり、グリーンウォッシュのリスクが大きい。
  • 66%の企業で取締役会がサステナビリティに関する監督責任を持つものの、具体的なトピックについて取締役会に専門知識があるとする企業は2%だった。
  • 産業分野別では、消費者を事業対象とする家庭用品分野や医薬分野の平均スコアが他分野より高く、環境意識の高い消費者に訴求するためにサステナビリティへの取り組みに力を入れる傾向がうかがえる。