2024年10月24日

国連環境計画(UNEP)は、「排出ギャップ報告書2024」をハ発行し、温室効果ガス排出削減のために現実的な行動を加速するよう訴えた。

1.5℃目標の達成は技術的に可能だが、そのためには「国が決定する貢献(NDCs)」において年間の温室効果ガス排出量を2030年までに42%、2035年までに57%削減する必要がある。現在の無条件な自主的NDCを実施するのみでは、気温は2.8℃上昇する。また現在の政策を継続するだけであれば、3.1℃上昇するという。

ネットゼロ達成には、世界の金融構造の改革、民間セクターの強力な行動、国際協調により、緩和投資を少なくとも6倍に増加させる必要がある。

アフリカ連合を除くG20加盟国が2023年の排出量の77%を占めており、これらの国々が排出量削減のために大きく貢献しなければならないが、現状はNDCsさえ達成できていないと指摘する。

また、11月7日に発表された「適応ギャップ報告書2024」では、各国がCOP29で資金面の行動を開始するよう訴えた。

2021年から2022年で、開発途上国への国際的な公的適応資金の流入は220億ドルから280億ドルに増加した。しかし、2025年までに少なくとも380億ドルに倍増させるという目標が達成できても、1,870-3,590億ドルと推定される適応に要する資金とのギャップの5%ほどが解消されるにすぎない。

紛争の影響などにより国家適応計画の策定が進まない国には、個別支援が必要である。また、課題に見合わない適応行動が実施されていることや、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のプロジェクトにおいても満足な結果を出せていないものや、長期的な資金提供なしには持続不可能なものがあるという課題も浮き彫りとなった。

公的セクターは、基金や融資機関の創設、気候関連の財政計画と気候予算の決定、国家開発計画と中期支出枠組での適応資金の主流化、適応投資計画の策定などに取り組むべきだ。民間セクターには、適応アクセラレーターやプラットフォームの推進などが求められる。さらに、戦略的な国際公的資金の活用とともに、広範な開発戦略の一部として開発途上国に対し能力向上支援や技術移転支援がなされるべきと指摘する。