2021年10月 6日

ビジネスにおける自然関連のリスク・機会の評価を支援する、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の初めての全体会議が、33人のタスクフォースメンバー出席のもと開催された。TNFDは今後、金融及びビジネスセクターの自然に関するリスク管理と情報開示のフレームワークを開発していく。

タスクフォースのメンバーとしては、既に発表されていた金融・ビジネス界の上級管理者30人に加え、農業・海産関連業界の専門知識をカバーするため、新たにBunge、Grieg Seafood、Olamの上級管理者が就任した。会議ではTNFDフレームワーク開発全体のロードマップとスケジュールについて、また、5つの作業部会の初期段階の作業について議論が行われた。

同全体会議に続き、フランス開発庁によりTNFDナレッジハブのひとつであるTNFD開発金融ハブの初回会合が開催された。TNFD開発金融ハブは、世界の500の公的開発銀行の新興市場における、経済成長とあわせた環境へのプラスインパクトへの投資経験を活用していく目的をもつ。

また、世界の企業、金融機関、公的機関、学術機関、市民組織など多分野の組織で構成され、TNFDの活動を支援するTNFDフォーラムには現在170組織以上が参加しており、現在も参加希望を受け付けている。

一方、今月8日に、気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NFGS)と、同機関を研究支援するINSPIREの共同研究グループは、中間報告「生物多様性と金融安定:行動のための事例構築(仮訳)(Biodiversity and financial stability: building the case for action)」を公表した。報告書は、生態系サービスの低下により関連する企業がすでに物理的リスクを負っており、またポスト2020生物多様性枠組が合意され政策に反映されれば移行リスクにも直面するだろうと述べており、生物多様性損失が経済と金融に重大な損失を講じることが一層明らかになっているとした。最終版は2022年初めに発行予定でより包括的に生物多様性とマクロ経済、金融システムの関連性が示される見込みである。