国連、持続可能な開発目標(SDGs)報告書の2021年版を発表
2021年7月 6日
国連は、「持続可能な開発目標(SDGs)報告書2021(The Sustainable Development Goals Report 2021)」を発表した。報告書では、SDGsの達成に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響について言及。2020年はこの新たな感染症の脅威により、世界の貧困率が過去20年間で初めて増加し、およそ1.2億人が新たに極度の貧困状態に陥ったという。学校教育においては1億人の子どもたちが最低限の読解力レベルに達しておらず、この20年間で向上した学校教育の質が後退する恐れがあると指摘した。
SDGs17目標ごとの達成に向けた進捗状況は以下のとおり。
SDG1(貧困撲滅):
世界の貧困率は2030年に7%になると予測され、貧困撲滅の目標は未達に。
SDG2(飢餓撲滅):
子どもの栄養状態においては、世界の5歳未満の子どもの22%が発育不全、6.7%が衰弱、5.7%が肥満状態にある。
SDG3(健康と福祉):
パンデミックにより人々の健康状態は停滞もしくは悪化し、平均寿命が短くなった。
SDG4(教育):
1年生から8年生の児童の9%が最低限の読解力レベルを下回った。
SDG5(男女平等):
意思決定における女性の参画は、未だ国会議員の25.6%、地方自治体の代表者の36.3%、管理職の28.2%に留まっている。
SDG6(水と衛生):
20億人が安全な飲料水へのアクセスがなく、36億人が安全な衛生設備を利用できない状況下にある。
SDG7(手頃でクリーンなエネルギー):
26億人が危険で非効率的な調理システムを使用している。
SDG8(働き甲斐と経済成長):
パンデミックにより2億5,500万人がフルタイムの職を失った。
SDG9(産業と技術革新):
ミディアムおよびハイテク製品の製造が2020年下半期の景気回復を後押しした。
SDG10(不平等の是正):
2020年には10万人あたり311人が難民となり、2010年の倍以上となった。
SDG11(都市と居住地):
公共交通機関に便利にアクセスできるのは世界の都市人口の約半分のみである。(バス停から徒歩500m以内、鉄道またはフェリー乗り場から1,000m以内)
SDG12(責任ある消費と生産):
世界のマテリアルフットプリント(消費された天然資源量を表す指標)が2000年から2017年の間に70%増加した。
SDG13(気候変動対策):
2020年時点で世界の平均気温は産業革命前の基準から1.2度上回っている。
SDG14(海の豊かさ):
デッドゾーン(海洋生物が生息できない無酸素および貧酸素の水域)が、2008年から2019年にかけて400から700か所に増加した。
SDG15(陸の豊かさ):
2000年から2020年の間に世界で1億ヘクタールの森林が失われた。
SDG16(平和と公正):
2020年時点の児童労働者は1.6億人で、20年ぶりに増加した。
SDG17(パートナーシップ):
世界の人口のほぼ半分である37億人が未だオンライン環境へのアクセスがない。