2023年3月29日

国連責任投資原則(PRI)は、自然資本に関するスチュワードシップ・イニシアチブの立ち上げを発表した。PRIの署名機関約15社による諮問委員会を設立予定であり、イニシアチブへの戦略的インプットを担う委員会メンバーを4月28日まで募集している。

本イニシアチブの目的は、投資家の集団的影響力を駆使して2030年までに生物多様性の損失を止めて回復に向かわせるという目標に貢献することであり、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に即したものとなっている。署名機関による自然関連のリスク管理および自然と生物多様性に関する価値創造機会の活用を支援するPRIの取り組みの一環である。まず初めに森林の損失と土地の劣化に焦点を当て、イニシアチブの発展に従って他の要因にも取り組みを拡大していく。

世界の総GDPの約半分にあたる44兆ドルの経済的付加価値が自然とそのサービスに依存しており、生物多様性の損失は経済・金融システム全体に直接的および間接的に影響を与えるシステミック・リスクにつながる問題である。

投資家は、政策立案者への直接的な関与、および、投資先企業の責任ある政策エンゲージメントを通じた間接的なアプローチの2方向から、生物多様性に関する政策変更と実施に影響を与えることができる。本イニシアチブでは、当初は企業のロビー活動やその他の影響力のある政治的慣行等の間接的アプローチに焦点を当てると同時に、「森林破壊に関する投資家の政策対話(仮訳)(IPDD: Investor Policy Dialogue on Deforestation)」といった既存の政策立案者との直接的な関わりについても支援していくという。