2022年12月 1日

国連責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)は、社会問題や人権に特化したスチュワードシップ・イニシアチブ「アドバンス(Advance)」を立ち上げた。220以上の機関投資家が参加し、その運用資産総額は30兆ドルに上る。本イニシアチブでは、エンゲージメントの対象先企業と、参加している投資家のリストを公開し、すべてのステークホルダーに対する透明性の向上を目指す。

同イニシアチブは、投資家が事業活動によって影響を受けるステークホルダーと直接意味ある対話を進め、積極的な成果に結びつけることができるようにPRIが支援する取り組みである。参加投資家はそれぞれ、人権問題が制度的な問題であり取り組みが急務であるとの認識を表明する公開声明に署名している。

同イニシアチブの第1フェーズでは、まず金属・鉱業および再生可能エネルギー分野の企業40社をエンゲージメントのフォーカス企業として選定し、120の投資家が対話を主導・支援する。ステークホルダーに対する透明性を向上させるため、PRIとして初めて各フォーカス企業と対話を進める投資家のリストを公表する。日本では日本製鉄がフォーカス企業となっており、野村アセットマネジメントとマン・グループがエンゲージメントを主導する。

同イニシアチブの活動期間は5年間とし、今後他の産業分野や政策決定者とのエンゲージメントにも取り組む計画。エンゲージメントに関わる投資家は、イニシアチブ参加後1年以内に自社内で人権ポリシー・人権デュー・ディリジェンスプロセスを策定することが義務付けられている。また、目的が一致する他の投資家イニシアチブとも協業するとしており、すでにInvestor Alliance for Human Rights(IAHR)と提携協定を締結している。


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