欧州委員会、欧州の競争力強化の枠組み「競争力コンパス」を発表
2025年1月29日
欧州委員会(EC)は「競争力コンパス(Competitiveness Compass)」を発表した。これはECの活動の方向性を示す戦略的枠組みであり、欧州が、技術革新や、サービス、クリーンな製品を発明・製造・市場投入する場所となると同時に、気候中立を達成する初の大陸となるための道筋を示すものである。
競争力コンパスは2023年の「ドラギレポート」に基づいている。同報告書では、競争力を強化するための3つの変革の必要性が指摘されたが、今回のコンパスでは、これらの必要性を実現するためのアプローチと主要な施策の選択肢が提示されている。
1. イノベーションの格差の解消
スタートアップの成長を支援し、高成長分野でのリーダーシップを強化する。「AIギガファクトリー」「アプライAI」といったイニシアチブの提案を通じ、AIの発展と産業適用を推進する。先端材料、量子、バイオテクノロジー、ロボット工学、宇宙技術に関する行動計画を策定する。スタートアップ企業の活躍を促進する「第28番目の法体系(28th legal regime)」を提案する。
2. 脱炭素化と競争力のための共同ロードマップ
クリーンで安価なエネルギーへのアクセスを促進する。「クリーン・インダストリアル・ディール」による競争力向上を目指す。「産業脱炭素化促進法」を通じて、移行期にあるセクターの迅速な許認可を拡大する。鉄鋼、金属、化学などのエネルギー集約型産業向けに特別な行動計画を想定している。
3. 過度な依存の削減と安全保障の強化
「クリーン貿易・投資パートナーシップ」を通じ、世界各国からの、原材料、クリーンエネルギー、サステナブルな輸送燃料の確保、クリーン技術導入を推進する。公共調達ルールの見直しにより、重要分野・技術の調達において欧州優先枠を導入する。