2024年9月23日

世界経済フォーラム(WEF)は、ネイチャー・ポジティブの実現に向けて積極的に取り組んできた企業6社の事例をまとめた白書「自然へのスポットライト:ネイチャー・ポジティブの未来に向けた事業の移行事例(仮訳)(Spotlight on Nature: Case Studies for Business Transformation towards a Nature-Positive Future)」を発表した。

本白書では、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が今後標準的な報告枠組みとなるという考えに立ち、TNFDが定義する「自然領域」の陸(Land)、海(Ocean)、淡水(Freshwater)、大気(Atmosphere)の4つの分類で、6社が事業活動やバリューチェーン全体における自然の課題にどのように対処しているかを紹介している。

陸領域では、インター・イケア・グループ(オランダ)、アディティア・ビルラ・グループ(インド)、ヤラ(ノルウェー)、海領域ではウォルマート(アメリカ)、オーステッド(デンマーク)、淡水領域ではサントリー・ホールディングス(日本)が事例として取り上げられた。大気領域では事例の掲載はないが、企業活動と関連する自然や気候の関係について概要がまとめられている。

業界や事業地域の異なる6社の事例分析から明らかとなった、ネイチャー・ポジティブ実現のために企業が検討すべき重要な問いは以下の通り。
・自社の企業活動は、自然に対しどのような影響を及ぼし、どのように依存しているか。
・新たな事業や協業を試行するうえで、自然はどのような契機となりうるか。
・自社のバリューチェーンをどの程度理解できているか、また何もしなければどのようなコストが発生するか。
・バリューチェーンを形成する重要な自然資源は何か、また既存の資産や能力は、レジリエンスの創出にどのように役立つか。

本白書を通じて、知見を共有し、さらなる協働や行動を支援することを目指しており、企業が自然に良い影響を与え、より持続可能な未来に向けて一丸となって取り組むために、企業にはまだ多くの可能性が残されているとしている。