国連事務総長、酷暑に関する声明を通じてグローバルな行動を要請
2024年7月25日
異常な高温は一過性の現象ではなくなり、今や世界中の人々が直面する課題となっている。暑さによる死者数は年間50万人近くと推定され、熱帯低気圧による死者数の約30倍にもなる。
グテーレス国連事務総長はこうした事態を受け、以下の4つのグローバル行動を要請した。
1) 最も脆弱な立場に置かれた人々の保護
異常な高温は不平等を拡大し、食糧不安を煽り、都市部の貧困層、妊婦、障害者、高齢者、幼い子どもたち、病人、避難民などの脆弱な人々をさらに貧困へと追いやる。低炭素な冷房へのアクセス向上、パッシブ・クーリング(機器に依存しない冷却方法)の拡大、冷却技術の効率性向上と改善、最も脆弱な人々の保護の強化を訴えた。先進国には、気候変動への適応の際の資金ギャップを埋める具体的な対策を要請した。
2) 労働者の保護
国際労働機関(ILO)の新たな報告書では、世界の労働人口の70%以上に相当する24億人が、異常な高温による高いリスクにさらされていると警告した。職場での熱ストレスが世界経済にもたらす損失は、2030年までに2.4兆ドルと推計されており、人権に根差した、労働者保護の施策と、異常な高温の現実を反映した法制度の施行を要請した。
3) データと科学にもとづいた、経済と社会のレジリエンス(強靭性)の強化
暑さでインフラや産業が次々と崩壊しているなか、国、都市、産業セクターに対し、包括的で個々の状況にあった暑さ対策の行動計画の整備を求めた。
4) 気温上昇への即時対応
気候危機は異常な高温だけでなく、ハリケーンや洪水、干ばつ、森林火災、海面上昇など、破壊的な「症状」があり、この「症状」に対処するためには、「疾病」そのものと闘わなければならない。「疾病」とは、地球を焼き尽くそうとする狂気、化石燃料への依存、気候行動を取らないことである。
すべての国々に対し、来年までに気温上昇を1.5℃に抑えるという目標に沿った「自国が決定する貢献(NDC)」あるいは国別気候行動計画の策定と、迅速で公正な化石燃料使用の段階的廃止を要請した。