2022年9月13日

日本政府は、企業における人権尊重の取り組みに関するガイドライン「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表した。

本ガイドラインは、経済産業省が立ち上げた「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」により原案が取りまとめられ。また、2022年8月8日から8月29日を期限として実施された本原案に対する意見募集では、131の団体・事業者・個人から意見が提出された。同省において必要な修正を行った上で、「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」に報告し、同会議において日本政府のガイドラインとして決定された。

本ガイドラインは、意見募集を受けて草案に改善を加えて最終化されている。一方で、集められた意見のうち経産省が今後の検討の参考とすると回答した意見もある。例えば、アムネスティは以下の意見を提出しさらなる改善を要求している。

・国家が、国際人権法上の自らの義務を果たすために、企業活動による人権侵害から個人を保護するための措置を取ることをガイドラインに記載するべき

・国連総会で「清潔で健康的かつ持続可能な環境への権利」を人権と認める決議が採択されたことを受け、企業は環境への権利を尊重する責任があることを明記するべき

・人権デュー・ディリジェンスの実効性を確認するために、第三者によるモニタリング推奨を明記するべき

・苦情処理メカニズムの要件として「利用可能性」「公平性」「透明性」「対話に基づく」について追記するべき

・国家による非司法的救済措置として、「OECD多国籍企業行動指針」に基づく日本のNational Contact Point(NCP)の機能の強化、国内人権機関の設置に向けた政府の行動を明記するべき

・本ガイドラインのようなビジネスと人権に関する基準を国として策定する際には、企業の人権デュー・ディリジェンスの取り組みに関するギャップ分析を行い、現状の把握を行うべき。さらにガイドライン施行後に定期的にギャップ分析を実施し施策やガイドラインの見直しに活用するべき


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