2020年12月 7日

ネスレは、世界で初めて「森林フットプリント」(※)を開示し課題や進捗についての報告を行った。ネスレは、2010年に森林破壊ゼロをコミットしてから、サプライチェーンに直接関与し原材料の由来の検証を進めてきた。プランテーションや小規模農家にまで遡り森林破壊が起きていないこと、また起きても対策がとれるよう検証している。さらにネスレは、今後は現戦略を「フォレスト・ポジティブ」なものに進化させるとした。

ネスレでは、調達先のパームオイル搾油工場周辺の森林破壊の発生状況の確認のため、ほぼリアルタイムで衛星によるモニタリングが可能となった。そして、この度インドネシアのアチェ州で、規定した原材料調達境界の範囲内、または近接している、森林、泥炭地(ピートランド)、コミュニティー所有地における、「森林フットプリント」パイロット調査を実施した。その結果、約9万ヘクタールの森林や泥炭地が将来的に開拓されるリスクがあることなどが分かり、将来的な森林破壊や土地の権利における紛争リスクを明らかにした。

この結果を受け、ネスレは、サプライヤーやさらなる上流の生産者集団にこれらの地域を保護するためのコミットを求めて対話を進めることが不可欠であるとした。森林の回復や保全に積極的な行動をとり、同時に人権を尊重し持続可能な生計を推進するサプライヤーから購入していくとした。従来の森林破壊ゼロの調達戦略からさらに前進し、森林破壊の将来的リスクを測り、プロアクティブな森林保全への介入を通して森林破壊に取り組む「フォレスト・ポジティブ」戦略に転換するとしている。

また、炭素貯蔵の高い森林や保全する価値の高い森林に関する調査を実施し、森林開拓計画を事前に公開することも、サプライチェーン・エンゲージメント戦略の中心となるとしている。生産者や重要なステークホルダーを支援し積極的に森林や泥炭地の保全を進め人権を守るために、地域やサプライチェーンレベルにおいてどうエンゲージメントを進めるかに注力する予定。今後関連する産業や関連する従事者と協働しデータのギャップに取り組み、プランテーションのトレーサビリティや、森林やコミュニティーの権利に対する最善策などを通じサプライチェーンの透明性を改善していく。

※「森林フットプリント」とは、企業による森林リスク産品(パーム油、紙パルプ、木材製品など)の利用や銀行による森林リスク産品への資金提供によって、これまでに影響を与えている、または今後与える可能性がある森林と泥炭地の総面積。