パーム油最大手、サプライヤーの森林破壊の監視を強化する行動計画を発表
2018年12月10日
パーム油最大手のウィルマー・インターナショナルは、パーム油の供給元を特定し監視するという具体的な行動計画を発表した。同社は、大多数の世界の主要な食品・化粧品ブランドにパーム油を提供しており、世界のパーム油の40%を供給している。
同社は、2019年末までに高解像度の衛星モニタリングを用いて同社に供給するすべてのパーム油サプライヤーを監視し、熱帯雨林の伐採が発覚すれば取引停止措置をとるとしている。これが実現すれば森林破壊を阻止できる可能性が高まるという。同社は、2013年に、「森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロ(No Deforestation, No Peat, No Exploitation (NDPE) )」ポリシーを採用した最初の企業であり、2014年末までに他の主なパーム油取引企業が続いて同様のポリシーを採用した。しかし、これまで現場での監視が十分ではなく、パーム油による森林伐採は継続していたという。
同行動計画には、サプライヤーに対しNDPEポリシーを遂行することを強く要請することや、グループレベルでサプライヤー活動のマッピングを実施すること、また森林の状況をマッピングして詳しく把握し、遵守していない活動を特定していくことや、小規模事業者を支援すること、さらには進捗を公開し、同業他社と連携していくことなどが盛り込まれている。これらは、行動計画遂行を支援する環境NGOのAidenvironmentとの共同声明の中で伝えられた。
世界的な環境NGOのグリーンピースでは、最近、世界最大の日用品メーカーに対してサプライチェーンにおけるパーム油による森林伐採を終わらせることを目的としたキャンペーンを展開してきた。過去3ヶ月に渡り、ウィルマー・インターナショナルの製油所や輸送拠点でも抗議行動を行い、同社の主要顧客である食品メーカー(モンデリーズ・インターナショナル)の工場を封鎖したり、本社で森林破壊の実態を訴えたりしたという。
グリーンピースでは、世界的には、193の絶滅危惧種がパーム油生産によって脅かされているとしている。また、パーム油の開発は森林火災の原因ともなっており、ハーバード大学とコロンビア大学の研究者は、2015年のインドネシアの火災による煙が10万人もの早期死亡を引き起こしたと推定。さらに、世界銀行はこれらの災害の被害額を160億ドルと算出したという。