2017年8月 1日

オランダ環境評価庁(PBL)は、土地の劣化が世界的な問題となっており、特に人口増加が激しい乾燥地域では特にそのリスクが高いという研究結果を発表した。

研究は、土地劣化と砂漠化、干ばつへの対処を目的とする国連の「砂漠化対処条約(略称)(UNCCD)」事務局の依頼により実施されたもので、9月に中国で発表予定の「世界の土地展望(仮訳)(Global Land Outlook)」の主要な内容となる。

研究は3つのシナリオについて土地利用の変化を予測した。シナリオによれば2050年までに土地を必要とする製品の需要は30-80%増加する。製品の需要増加による農業と酪農に利用される土地の増加は、中間的なシナリオでおよそ400万km2(平方キロメートル)、最大増加のシナリオで800万km2と予測された。

現在の土地管理では、世界では900万km2以上の土地が劣化してきており、その半分以上が農地であり、世界の農地の12%を占める。アフリカ大陸のサハラ以南では、劣化した土地は陸地面積20%にのぼり、農業生産や水管理、土壌や植物による炭素貯留に影響を及ぼしている。

アフリカや南アジアなどの土地劣化に脆弱な乾燥地域では、2050年までに人口が40-50%増加する見込みである。これらの地域は人口増加が25%と予測される非乾燥地域に比べて問題がより深刻であり、水と肥沃な土地の不足に直面する可能性が高い。

また、UNCCDの科学・政策インターフェース(SPI)では、今月、「土地の劣化の中立性(LDN:Land Degradation Neutrality)」の科学的な概念枠組みに関する説明文書を英語、フランス語、スペイン語で発表した。LDNとは、2015年10月の砂漠化対処条約の締約国会議で合意された概念で、土地の自然資源や生態系の機能・サービスの損失と、それらを代替する施策としての土地保全や持続可能な土地マネジメントによりそれを埋め合わせるだけの増加を、バランスさせようとするものである。SPIは、砂漠化・土地劣化・干ばつに関し、科学者と政策決定者との対話を促進するために設置された専門家集団で、土地資源とその生態系サービスを維持増進する政策の形成に必要な科学的知見または、政策関連の情報や助言を提供している。

これまでに110カ国がLDN目標を策定することを表明している。