2018年10月 8日

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、韓国・仁川(インチョン)で開催された第48回総会において、40カ国91人の専門家によって取り纏められた「特別報告書1.5℃の地球温暖化(仮訳)(The Special Report on Global Warming of 1.5℃)」を承認した。この特別報告書は、12月にポーランドのカトヴィツエ(Katowice)で開催予定の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第24回締約国会議(COP24)の意思決定の場において、重要かつ科学的な根拠として取扱われるだろうとしている。

同報告書によると、現在の時点で、地球温暖化の影響により、既に産業革命以前の気温から1℃気温が上昇しており、極端な気象や海面の上昇、北極海の海氷融解などを引き起こしている。そして、気温の上昇を今後1.5℃未満に抑制できれば、2℃もしくはそれ以上と比較しても、多くの気候変動の影響を回避できると指摘している。例えば、世界の海面上昇は10センチ低位に抑えることができ、また、北極海で夏季に海氷が全面的に融解する現象の発生頻度についても、最低10年に一度から、100年に一度に抑えられると予測している。更に、サンゴ礁の破壊についても、ほぼ全て(99%以上)から、70-90%程度にまで抑えられると報告されている。

1.5℃未満に気温上昇を抑えるべく、様々な対策が世界中で打ち出されているが、土地、エネルギー、産業、建築物、輸送、そして都市のあらゆる分野において、緊急かつ革新的に、転換に向けて取り組む必要性を説いている。また、1.5℃未満に抑えるためのあらゆる活動は、国連のSDGs達成にも寄与するとして、報告書内で分析および取りまとめも行っている。