2022年7月11日

現在139カ国が参加する、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、「自然の多様な価値と評価に関する評価報告書(仮訳)(the Assessment Report on the Diverse Values and Valuation of Nature)」を発行した。世界的に短期的な利益と経済成長に重点が置かれ、政策決定において自然の多様な価値が考慮されていないことが多いと指摘している。

同報告書は、世界の82名のトップ科学者・専門家が4年をかけて、50以上ある自然の多様な価値を明らかにする方法論やアプローチを評価したもの。2019年のIPBESのグローバル評価報告書をベースにし、13,000以上の資料を参照し、社会科学、経済学、人文科学の専門家による大規模なレビューにより学際的に深く掘り下げ作成された。

経済的・政治的な意思決定では、特定の自然の価値、特に集約的に生産される食料のような市場で取引される自然の商品的価値が優先されることがほとんどである。政策決定において特権的に扱われることが多いが、こうした市場価値は、自然の変化が人々の生活の質にどのような影響を与えるかを適切に反映しているとは言えない。さらに、政策立案では、気候の調節や文化的アイデンティティなど、自然が人々にもたらす多くの非市場的価値が見過ごされているという。 

本報告では、世界観や知識体系の違いが、人々の自然との関わり方や価値観にどのように影響しているかを類型化している。それを意思決定に役立てるために、4つの一般的な視点を提示している。それは、「自然から」、「自然とともに」、「自然の中で」、「自然として」生きるというものである。

そのほか、サステナビリティと調和する多くの深い価値観が存在し、他の人々や自然に対する結束、責任、スチュワードシップ、正義などの原則が強調されている。よりサステナブルで公正な将来に必要な変革のための条件整備に役立つ、以下の4つの価値観を中心とした「レバレッジポイント」を明らかにしている。
- 自然が持つ多様な価値の認識
- 価値評価の意思決定への導入
- 政策や規制を改革し、自然の価値を内部化すること
- 社会の規範や目標を、地球の持続可能性と正義の目標に沿うように変化させること