2019年2月13日

国際労働機関(ILO)は、世界全体および地域別の労働と雇用、生産性、非正規雇用等における動向の分析を行う年次刊行物「世界の雇用及び社会の見通し―動向編2019年版(World Employment and Social Outlook:Trends 2019)」を公表した。

報告書では、世界全体の労働市場における問題点は「雇用の質の低さ(劣悪な労働条件)」にあると指摘。更に、近年改善はみられるものの、多くの国々で「失業」と「労働力活用の不完全性」が課題として残っている、と指摘している。また、持続可能な開発目標(SDGs)「目標8:働き甲斐と経済成長」達成までの歩みは予想していたよりも遅いとして、その進捗状況について触れつつ、アフリカ、北米、中南米・カリブ、アラブ諸国、アジア太平洋および欧州・中央アジアの各地域の状況についても詳細な分析を展開している。

2018年に世界全体で雇用されている33億人の労働者の大半が、経済的保障、物理的な充足感、機会均等の面で不十分あるいは不適当な状況下に置かれていると報告されている。また、全ての人がディーセント・ワークを保つという「SDGs目標8」で目指している目標の達成は、このままの進捗度合では多くの国にとって難しいと言及している。

他方、新しいビジネスモデルの台頭が雇用の機会を奪いかねない状況を踏まえ、政府の関与の必要性を示唆した。また、世界でおよそ7億人の人々が、就労しているにもかかわらず貧困層にとどまっており、就労が十分な生活(水準)に直結していない現実にも触れている。更に、雇用におけるジェンダーギャップ、非正規労働や25歳以下の若年層の状況(非就労・非就業)についても課題として報告を行っている。

日本に特化した報告としては、図表による失業率と失業者数の改善についてのみに留まっている。


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