IEA、世界の電気自動車の最新動向を発表
2017年6月 7日
国際エネルギー機関(IEA)は、「世界EV展望2017(仮訳)(Global EV Outlook 2017)」を発表した。クリーンエネルギー大臣会合(CEM:Clean Energy Ministerial)の政策フォーラム「EVイニシアチブ(仮訳)(EVI:Electric Vehicle Initiative)」の参加国から集めたデータに基づき、電動輸送機器(EV)技術、市場、政策、EV充電設備(Electric Vehicle Supply Equipment)などに関する動向を示す。
同書によると、2016年の電気自動車(Electric cars)保有台数は2015年から60%増加し、世界で200万台を超えた。最大の市場は中国で、電気自動車販売台数の40%を占め、2億台の電動二輪車、30万台の電気バスが走っている。また、大気汚染改善のため世界の都市でEV普及の取り組みが進んでおり、パリやアムステルダムでは充電の利便性向上、ロンドンでは渋滞課金免除の政策を実施している。
電気自動車市場は今後約10年間で量販市場展開に移行すると見込まれ、保有台数は2025年までに4-7千万台に達すると予想されている。しかし、2016年時点では、小型乗用車台数のうちEVは0.2%に過ぎず、温室効果ガス(GHG)削減効果は大きくない。IEAの「エネルギー技術展望(仮訳)(Energy Technology Perspectives)」によれば、パリ協定目標の達成には、2040年までに電気自動車台数を6億台に増やす必要があるという。
同書は、官民で業務用EV車両導入を推進することが普及に重要な役割を果たすと指摘。米国ではロサンゼルス、シアトル、サンフランシスコ、ポートランド等30以上の都市が提携して、公共サービス用EV車両11万台以上のグループ購入を計画している。また、バッテリーパックの価格が普及の障壁となっていることから、EV車両への金銭的奨励策や化石燃料への課税を通じた販売拡大により、コスト削減を実現していくことが重要としている。
EVI参加国は、2017年6月8日に北京で開催された第8回CEM会合でEV30@30キャンペーンを立ち上げており、2030年までに乗用車、小型商用車、バス、トラックを含めた自動車市場でのEVのシェア30%をEVI全参加国で達成することを目指す。