2024年8月12日

IBMとWWFは、マルミミゾウ(アフリカン・フォレスト・エレファント)の保護を支援するための新たなAIソリューション開発を共同で行うことを公表した。この取り組みは、IBMが持つ技術と持続可能性に関する専門知識を活用し、WWFの野生生物保護の経験を組み合わせたもの。マルミミゾウは、コンゴ盆地での生息地の喪失や密猟により、近年、個体数が80%以上減少している。AIを活用した目視検査およびモデリング機能により、撮影されたゾウの画像から個体を識別することで、より正確な追跡、個体識別や個体数把握が可能になる。

さらにIBMとWWFはこの技術を駆使して、マルミミゾウが生息する地域のバイオマスと植生レベルを検出し、ゾウの将来位置を予測することで、彼らが提供する生態系サービスの価値の定量化を目指している。マルミミゾウは自然の中での活動を通じて、森林の炭素吸収能力を大幅に向上させる。その価値は1頭あたり最大175万ドルにもなるとされている。

WWFのThomas Breue博士は、「アフリカの森林でゾウの数を数えることは難しく、費用がかかる」としたうえで、「AIを使用して個体を識別できるようになれば、状況が一変する可能性がある。AIを使用すれば、空間と時間の中で個々の動物を監視し、より確実で詳細な個体数の推定を行い、野生動物クレジットなどのパフォーマンスベースの保全支払いが可能になる」と述べている。

IBMとWWFは、自然資本を活用して持続可能性を促進する新たな製品やサービスの開発に取り組んでいる。