2021年4月 6日

G8社会的インパクト投資タスクフォース(2013年設立)が、2015年にメンバー国を拡大して発足したGSG (The Global Steering Group for Impact Investment)の日本支部であるGSG国内諮問委員会は、国内における社会的インパクト投資の動向をまとめた年次レポート「日本におけるインパクト投資の現状と課題 -2020年度調査-」を公開した。当年次レポートは、2016年より毎年発行しており、アンケート調査に基づき、日本のインパクト投資の投資残高を提示するほか、インパクト投資の取り組み機関の事例や国内のインパクト投資の動向を紹介する。

2020年度のGSG国内諮問委員会によるアンケート調査の結果によると、日本の社会的インパクト投資市場の投資残高は5,126億円であることが確認された。また、国内外における2020年の主な動向として、以下を挙げている。

1) インパクト投資関連の政府の研究会の動きの活発化(金融庁、環境省、経済産業省等)
2) 日本の大手生命保険会社がインパクト投資に進出
3) 日本初のサステナビリティ・リンク・ボンドの発行
4) 日本のカード会社が、東南アジアでインパクト投資実施
5) 経団連がサステナブルな資本主義を基本理念に捉えた新成長戦略を発表
6) 英ビッグ・ソサエティ・キャピタルとシュローダーがインパクト投資信託会社を設立
7) SDGインパクト制度の設立

上記1)の例として、2020年7月に環境省は、ESG金融ハイレベル・パネルに設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースにおける議論をまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」を公表したほか、全ての機関投資家・金融機関等が全てのアセットクラスにおいて、インパクトファイナンスを実践することを目指し、インパクトファイナンスの普及に向けたロードマップも提示している。