2023年8月25日

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、「2022年度ESG活動報告」を刊行した。本報告では、同年度のESGに関する取組みの紹介やポートフォリオのESG評価などに加え、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を受けた分析を充実させ、「ボトムアップアプローチに基づくGHG削減貢献量分析」や「GPIFが投資しているESG債の対象プロジェクトのインパクト計測」が実施された。また、試行的に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の提言に沿った分析も実施されている。今回から、気候変動リスク・機会分析に特化した「ESG活動報告別冊」の取りまとめは行わずに、本報告書内で詳細な分析がまとめられている。

本報告によると、GPIFが採用するESG指数は、2022年度に「国内株式のジェンダー・ダイバーシティ指数(GenDiJ指数)」を新たに採用したことで、国内株式・外国株式合計で9本となり、ESG指数に基づくパッシブ運用の運用資産額は合計で約12.5兆円まで拡大している(2023年3月末現在)。

また、2022年度のESG指数のパフォーマンスは、外国株式のESG指数の全てが政策ベンチマークを上回ったものの、国内株式のESG指数は全て政策ベンチマークを下回る結果となった。非常に好調だった前年度からの反動が背景にある。

2023年度は、今までのESG投資やスチュワードシップ活動の精度を一段と高めるための検証作業を本格化させる。2023年度から開始する「スチュワードシップ活動・ESG投資の効果測定プロジェクト」で、GPIFがESG指数を採用したことによる波及効果などについて分析予定である。さらに、運用会社が行うエンゲージメントが実際に企業行動に変化をもたらしているのか、どの運用会社のエンゲージメントが効果的なのか、などについても分析予定である。