2023年11月 7日

2023年11月7日、セリーズ(Ceres)は報告書「イノベーションの育成: 農業における排出削減のための企業の実用的解決策 (Cultivating Innovation: Practical Solutions for Companies to Reduce Agricultural Emissions)」を発表した。食品企業がサプライチェーンおよび業界全体でイノベーションを推進するための方法や具体例を紹介したものである。

食品セクターは全世界のGHG排出量の約3分の1を占める。パリ協定の目標を達成し、気候変動による最悪の影響を回避するためにはイノベーションが急務とされる。既存の農業慣行では必要な削減量の20%程度しか対応できないため、技術革新が重視されている。

報告書では、気候変動移行計画の一環として取り組むべき2つの戦略を提示している。一つは、公的研究開発の促進や官民連携、規制改革支援などのアドボカシーとコラボレーション。もう一つは企業の直接的な行動で、研究開発投資、市場開発と需要創出、新たな慣行や技術に対する理解向上のためのパイロットテスト、新技術へのコーポレートベンチャーキャピタル投資などが例示されている。

さらに、食品企業が農業GHG排出の主要な要因に対処するために活用している、もしくは検討可能な多くの有望な技術についても詳述している。例えば、牛が吐き出すメタンを捕捉するウェアラブルデバイス、糞尿メタン生成抑制剤、肥料の養分放出タイミングの改善された高効率肥料、肥料製造による排出を削減するグリーンアンモニア、健全な土壌を促進しメタン排出を減少させる可能性のある多年生稲品種、農場でのエネルギー使用を削減する電動トラクターなどが紹介されている。