2024年7月18日

金融安定理事会(FSB)は、「自然関連リスク報告書 - 金融リスクに対する監督規制当局のアプローチと視点(仮訳)(Stocktake on Nature-related Risks -Supervisory and regulatory approaches and perspectives on financial risks)」を発表した。G20財務大臣・中央銀行総裁からの要請により、中央銀行や監督規制当局が、自然破壊や生物多様性の損失を金融リスクと認識しているかどうかを含め、当局の自然関連金融リスク関連のイニシアチブについての調査を実施し、報告書をまとめた。

報告書では、各当局によるイニシアチブを要約し、自然関連金融リスクの特定、評価、管理における主要な課題が提示されている。自然破壊や生物多様性の損失などを含む、自然関連リスクの潜在的影響を検討する金融当局の増加も明らかとなった。また、未だ初期段階ではあるものの、新興国・先進国を問わず、多くの当局がすでに規制と監督の取り組みが進んでいるという。

一方で、各金融当局が生物多様性の損失や自然関連リスクを金融リスクとして評価する段階は様々であり、自然関連リスクを重大な金融リスクと認識している当局もあれば、気候変動リスクを優先するために自然関連リスクへの取り組みを停止する当局も存在している。

自然関連リスクを理解し、必要な措置を講ずるためには、規制当局、中央銀行、民間セクターにおいてより多くの専門知識が必要であるとの認識が広まっており、そうしたキャパシティ・ビルディングが世界各地で進行中である。気候変動リスクと自然との間に強い結びつきがあること自体は認識されており、気候変動リスクと自然関連リスクの相互依存関係を考慮した総合的なアプローチの開発が求められている。