2024年10月 2日

生物多様性のためのファイナンス(FfB: Finance for Biodiversity)財団は、報告書「グローバル上場企業の生物多様性への影響と依存度の評価 - マルチツールによるフットプリント・アプローチ -(仮訳)(Assessment of the biodiversity impacts and dependencies of globally listed companies- A collaborative multi-tool footprinting approach)」を発表した。同報告書は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)の採用銘柄に含まれる2,300社以上の企業について、包括的な生物多様性フットプリント評価を実施し、その結果をまとめたものである。主な発見は以下の通り。

  • 推定される生物多様性への影響の67%は、影響の大きい上位250社に集中しており、上位10社は影響の15%以上を占めている。
  • 食品産業、石油・ガス・燃料産業、化学産業の順に生物多様性へ与える影響は大きい。
  • MSCI ACWIにおける生物多様性損失の主な要因は、気候変動、汚染、土地利用、水利用であり、気候変動への対応だけでは生物多様性の損失を食い止められない。
  • スコープ3の影響がバリューチェーン全体で最も大きく、投資家エンゲージメント・プログラムにおいてバリューチェーン全体を考慮することの重要性を示している。
  • 生態系サービスへの依存度が最も高いのは食品産業であった。依存度が高い企業が本質的にネガティブなのではなく、関連する自然関連のリスクを理解することが、包括的なリスク管理に不可欠である。
  • MSCI ACWI企業及び産業は、地下水と地表水の供給サービスや、調整サービスへの依存度が高い。特にバリューチェーンにおいては、スコープ3上流で依存度が高くなっている。
これらの結果は、金融機関が企業との投資家エンゲージメント活動を調整し、ポートフォリオ管理のための戦略を洗練させるために役立てることができる。本調査は、詳細な企業レベルのデータに裏付けされたものであり、FfB財団メンバー及び機関投資団体Nature Action 100(NA100)の投資家に共有される。