2022年1月 3日

3Mやシェブロンの取締役を務める国際エコノミスト、ダンビサ・モヨが株主第一主義からステークホルダー資本主義への転換に向け「企業が回答すべきESGに関する10の質問(仮訳)(10 ESG Questions Companies Need to Answer)」と題してハーバード・ビジネス・レビュー誌に寄稿した。

同氏によれば、企業はこれまでの株主第一主義からより広範なステークホルダー資本主義への移行にあたり、いかに実践的に、測定可能な方法でESGの取り組みを進めていくかについて頭を悩ませており、自身の10年以上の取締役会メンバーとしての経験から、すべての企業がESG戦略の構築するにあたって自問すべき問いを紹介している。

1.ESGは自社の競争力を損なっていないか (成長や市場シェアなどとのバランスを取締役会が管理しているかどうか)

2.ESG推進は企業収益を損なうのか (一部の株主から財務利益を毀損するとみなされる可能性も認識する必要。しかし投資家は操業許可の観点から取り組みの価値を軽視すべきではない)

3.ESGのトレードオフをいかに乗り越えるか (ESGは広範で相対する課題と関係者を内包しており、経営陣はそのかじ取りを問われている)

4.ESGにより企業の価値評価がどうのように変わるか (企業価値を調査するにあたっては、従来の事業シナジーや税効果などの部分的な要素からESG基準にまで及ぶようになった。ESGに取り組んでいることを行動と結果で示す準備を)

5.(米国の場合)公益法人(PBC)になるべきか (株主利益を優先する有限責任会社(LLC)から、公益法人やBコーポレーションなどへの切り替えが求められるように)

6.人種的平等などの社会問題にどう対応すべきか (より透明性と一貫性のある取り組みを行っていくことが求められている。一貫性のないアプローチは更なる対立を生み出すリスクを孕む)

7.ESGへのグローバル展開をどのように進めるか (異なる国や文化を包摂する取り組みとは)

8.未来の経済事情にも対応できるESGフレームワークをどのように構築するか (例えば自動化・デジタル化によって多大な影響を受ける雇用者のスキルセットをどう支援するか。今後の経済構造の変容にも対処できるESGの取り組みを)

9.ESGの実績をどのように検証するか (企業は財務や運用の監査に独立した第三者を利用しているが、ESG指標は非常に細分化されており、経営陣はどの指標を選択するかも問われている)

10.絶えず変化するESGの状況にどう対応し続けるか (企業は、時間の経過や同業他社、変化する規制に対してESGの実績を比較検討していかなければならない。規制当局や政策立案者、業界内での継続的な対話が必要となる)

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