2015年12月12日

パリで約2週間にわたって開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、気候変動対策の取り組みに関する歴史的な国際協定が採択された。先進国・開発途上国を合わせた196ヶ国・地域が温室効果ガス(GHG)削減を行うことを定める内容で、世界の全ての国・地域が合意した初めての協定となる。

パリ協定の核心となる目標については、産業革命以前と比較した世界の平均気温上昇幅を摂氏2度よりさらに低く、1.5度以内に抑える努力をするという目標が決定された。GHG排出量を早急に増加から低減に転じさせ、今世紀後半に排出量と吸収量が均衡し、実質的にゼロとすることを目指す。その実現に向けて、途上国も含めた全ての国が自主的に削減目標およびその達成方法を決めて、5年ごとに国連に目標(NDCs:Nationally Determined Contributions)を提出することが義務づけられた。

協定では、目標達成に向けた行動と支援の枠組みとして、温室効果ガスの排出削減等の緩和策及び気候変動に対する緩和策、そして透明性の高いシステム、財政支援等のすべての重要分野について合意することができた。協定には世界全体の目標に対する進捗状況の検証を2023年から開始することが盛り込まれている。また、先進国や自発的な支援に基づく資金支援については、2020年までは毎年1,000億ドル以上の資金を拠出するものとし、その後の目標については2025年までに当水準以上の金額を決定することとなった。

また、目標実施や合意遵守を確実にするためのコンプライアンス・メカニズムとなる委員会の設立、市民運動や民間企業、金融機関、都市などが果たす役割などについても触れている。

パリ協定は2016年4月22日から1年間、各国の署名を受け付け、55カ国以上が署名し、署名国のGHG排出量合計が世界の排出量の55%以上に達した時点で発効する。国連は、できるだけ多くの国が4月22日に署名に参加するよう呼びかけている。