2023年9月23日

環境分野に取り組む国際NGOであるCDPが新たに公開したデータによれば、水セキュリティに取り組むことで2.3兆米ドル(340兆円)のビジネス機会が生まれる可能性があるという。このデータは、過去5年間にCDPの水セキュリティ質問書に回答してきたグローバル企業から集められたもので、独フォルクスワーゲン、韓国サムスン、仏ダノンなどが含まれている。また、1,100人以上のCEOが報酬に水関連の目標を結びつけている。

データには、2018年から2022年にかけてCDPに継続的に回答を行ってきた591社の自己申告に基づく財務価値が反映されている。小売業からエネルギー産業までほぼすべての業界で最も多く報告される機会は水効率であった。新製品やサービスによって1.7兆米ドル、水関連の新たな市場で3,280億米ドルもの機会が見込まれるという。さらに、極端な気象に対するレジリエンス向上で2,310億米ドルのコスト削減が期待されるという。

CDPのMiriam Denis Le Seve氏は、「企業は常に水を貴重な資源として扱う必要がありますが、このデータからは、水セキュリティが年間何千億ドルものビジネス機会を生むことが分かります」と述べている。2022年のデータだけでも、企業は水リスクを削減するために最大790億米ドルの投資を計画していたという。また、58%の企業が取水量を維持または減少させ、63%が水関連のリスク評価を行っている。さらに、83%がこれらの問題についてバリューチェーンにおける取り組みを行っていると報告している。

さらに、驚くべき結果として、1,100人のCEOが年次業績評価に水関連の目標を結びつけているという。これにより、水セキュリティがようやく企業の取締役会のテーブルへと移動していることが明らかになった。一方で取り組みが遅れている企業もあり、2022年には12%の企業が企業レベルでの汚染目標を設定し、8%がWASH(水と衛生)に関する目標を設定したとも述べている。