2023年9月 5日

環境情報開示プラットフォームのCDPは、新たに公表した調査レポート「質の高い情報開示義務の形成(仮訳)Shaping High-Quality Mandatory Disclosure」を通じ、G20諸国の大半において企業による自然資源関連の情報開示に関する政策が、限定的あるいは全く策定されていないことを指摘し、質の高い情報開示義務化のための10原則の提示によって自然資源関連の包括的な情報開示の義務化を提言した。

G20加盟国のうち19カ国が参加したCOP15において、遅くとも2030年までに企業や金融機関に対する生物多様性へのリスクや影響、依存に関する情報開示の義務化が約束されたものの、実際に情報開示を義務化している、もしくは義務化に向けて動いているのは、ブラジル、EU、インドネシアの3カ国・地域のみであるという。

この状況を受け、CDPは自然資源に関して質の高い情報開示義務化のための10原則を提示し、G20諸国にその採用を促している。これらの原則は、環境への包括的アプローチの欠如、対象企業の絞り込み、移行計画の策定など、現行のアプローチとのギャップに対処する上で、各国政府が効果的な政策を策定するための手助けとなる。

2022年にCDPを通して気候変動に関する情報を公開した企業は世界18,700社以上にのぼる一方、生物多様性に関するデータを公開した企業はその半数にも満たない8,700社未満であり、水セキュリティに関しては4,000社以下にとどまっている。自然資本に関する包括的な情報開示の義務化が求められている。