2022年7月 6日

国連食糧農業機関(FAO)をはじめとする5つの国連機関により報告された「世界の食料安全保障と栄養の現状2022年版(The 2022 edition of The State of Food Security and Nutrition in the World )」において、2021年世界の飢餓人口が8億2,800万人に達したと推定された。

同報告によれば持続可能な開発目標(SDGs) が策定された2015年までは飢餓の増加は落ち着いていたが、「2030年までに飢餓、食糧不安、栄養失調を終わらせる」というその目標から現在は後退しているという。飢餓人口は2019年の新型コロナウイルス・パンデミックから1.5億人増加し、さらに2020年から4,600万人増え、2021年には世界人口の9.8%を占めるようになった。2021年、世界人口の約3割の約23億人が中程度から重度の食料不安を抱えるようになり、これは新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べ3.5億人増加したと推計されている。

報告では、食料不安と栄養不足の主要因として、紛争、極端な気候、経済ショックが不平等の拡大とあいまって激化していると主張。国際サプライチェーンは、特に低所得国で既に頻繁に発生する異常気象によって悪影響を受けており、世界の食料安全保障と栄養に深刻な影響を与える可能性があるとしている。

今後世界経済が回復したとしても、2030年には世界人口の8%に相当する6億7,000万人近くが依然として飢餓に直面するという予測が出ている。これまでの貿易および市場政策と財政補助金を通じた農家の補助ではなく、健康的な食生活を人々が低コストですべての人に公平に提供する公的な支援の必要性が示されている。