2022年8月16日

環境NGOのセリーズ(Ceres)は、世界の水リスクに対応する投資家主導の水評価のファイナンス・イニシアチブ「Valuing Water Finance Initiative」を立ち上げた。ウォーター・フットプリントの72の大手企業を対象とし、水を財務リスクとして捉え、行動し、水システムを保護するために大規模な変革を推進するよう働きかけるものである。世界で最も貴重な天然資源としての淡水に対する認知度を高め、産業、コミュニティ、生態系にとって不可欠な役割を認識し、水リスクへの対応を優先させるために必要なツールを投資家に提供する。

この世界初となる、投資家主導での世界の水リスクに対する企業の行動変容を働きかけるイニシアチブに、発足当初から参加する機関投資家は64、総運用資産残高は9.8兆米ドルに及ぶ。
働きかけの対象に含まれる日本企業は、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリー食品インターナショナル、ファーストリテイリング、ソニーグループの5社である。

本イニシアチブでは企業の水リスクの取り組みを測定する指標「Corporate Expectations for Valuing Water」により評価を実施。これは科学的根拠に基づき、国連のSDGs目標6「安全な水とトイレを世界に」およびセリーズ・ロードマップ2030に示された行動に沿ったものである。同指標では企業に求められる明確な行動ステップを示しているが、期待される行動の6項目は以下の通りである。

・水量:バリューチェーン全体において、水不足地域で悪影響を及ぼす水利用をしない
・水質:バリューチェーン全体において、水質に悪影響を及ぼさない
・生態系保護:水生生物多様性、淡水の供給に重要な役割を果たす自然生態系の改変を行わない。自社事業が依存する劣化した生態系の復元に努める
・水と衛生サービスへのアクセス:バリューチェーン全体において、コミュニティの水と衛生へのアクセスに貢献する
・取締役会の監視機能:取締役会、役員が企業の水管理の取り組みを監督する
・公共政策への関与:公共政策への働きかけやロビー活動が水資源管理の方針に沿ったものであること

セリーズCEOのミンディ・ラバー氏は「民間企業は水リスクを増大させないよう、企業自身そして投資における水資源の重要性を認識する必要がある」と述べ、機関投資家のさらなる参加を呼び掛けた。