2024年1月11日

英人権NGOのノウ・ザ・チェーン(KnowTheChain)は、アパレル・フットウェア上場企業大手65社の強制労働リスクを評価した調査報告書「2023 Apparel & Footwear BENCHMARK」を発表した。アパレル業界では、人権侵害防止のための人権・環境デュー・ディリジェエンスへの取り組みが不十分であることが示された。

今回の調査では、方針と施策の実施状況に重点をおくようメソドロジーが変更され、企業の取り組みが労働者にとって有意義な改善につながっているかどうかが評価された。評価テーマは、「コミットメントとガバナンス」、「トレーサビリティとリスク評価」、「調達慣行」、「求人」、「労働者の声」、「モニタリング」、「救済措置」。主な調査結果は以下のとおりである。

1.サプライチェーンにおけるリスクの把握とその開示を義務付ける、既存・新規の法律への企業の対応が不十分。高リスクの原材料を調達しているアパレル企業の数と、これらの原材料の調達先を把握し、特定されたリスクを開示している同企業の数には深刻な開きがある。

2.「労働者の声」は、エンゲージメントの欠如により100点満点中、平均15点だった。これは労働者を危険にさらしているだけでなく、経営リスクや法的リスクも高めている。

3.企業の調達慣行と、持続可能性へのコミットメントが整合していない。「調達慣行」の平均点は100点満点中12点と低かった。こうした慣行はサプライヤーの労働時間や報酬などに大きな影響を与えるものであり、これが続く限りサプライヤーによる人権基準の遵守は不可能であることから、人権デュー・ディリジェンス・アプローチに対する脅威となる。

4.アパレル業界では、長年にわたり低賃金や結社の自由の侵害などに関する苦情が明るみに出ているにもかかわらず、企業は労働者の救済結果を開示しておらず、「救済措置」の評価は平均が100点満点中7点と非常に低かった。

5.企業による取り組みは格差が拡大しており、50点以上のスコアを獲得した企業はわずか3社(ルルレモン、プーマ、アディダス)だった一方、20%以上の企業が5点以下、平均は21点だった。

調査対象となった日本企業の評価は、ファストリテイリングが49点で5位、アシックスが40点で12位のほか、良品計画が8点、しまむらが3点、ABCマートが0点だった。



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