2023年7月 1日

英人権NGOのノウ・ザ・チェーン(KnowTheChain)は、「2023年食品・飲料業界ベンチマークレポート(仮訳)(2023 Food & Beverage BENCHMARK FINDINGS REPORT)」を発表。同報告書は、食品・飲料業界の世界大手60社を対象に、サプライチェーンにおける強制労働への対応状況を分析・評価したものである。調査の結果、平均スコアは100点満点中わずか16点であった。レポートでは、食品・飲料業界はサプライチェーンにおける強制労働のリスクを特定し、状況を改善するための行動を早急に取るべきであると警告している。

ランキング首位はウールワースグループ(56点)であり、平均スコアとの差異は顕著であった。また、100点満点中10点以上を獲得した企業はわずか50%に留まり、分野別の平均では、労働組合及び団体交渉の自由(9点)や、労働者へ対する手当、損害賠償を含む救済措置(6点)などの分野で特に低いスコアとなった。

日本企業のスコアは、サントリー32点、イオン17点、味の素14点、セブン&アイ8点、明治7点、キッコーマン1点、ヤクルト1点となっている。サントリーは、前回2020年の報告(8点)から躍進し、サプライチェーンの第1層の女性等の割合やそのリスクを特定・開示したことなどについても報告書内で取り上げられている。

強制労働のリスクが世界的に拡大する中、食品・飲料業界の労働者は、特に高いリスクを抱えている。農業や食品加工の現場では、移民の雇用や季節労働も常態化していることから、労働者による団結が難しく、強制労働のリスクが高いが、多くの企業では十分な対応がなされていないという。

ノウ・ザ・チェーンは企業に対し、労働者中心のアプローチを導入し、労働者や労働組合などの主要なステークホルダーが、リスク調査や苦情対応メカニズム、サプライヤーモニタリング等を含む主要デュー・ディリジェンスの設計、実施、及びモニタリングにおいて中心的な役割を担うことを推奨している。